婚姻届を出すのに必要な「戸籍謄本」と「戸籍抄本」…なにが違うの?入手方法や有効期限も解説!
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「戸籍謄本」「戸籍抄本」は、婚姻届を出すとき一緒に提出する必要書類。
なんだか難しそうな名前の書類ですが、いったいコレは何なのでしょう?
戸籍謄本と戸籍抄本の違いや必要な理由、入手方法などをイラスト付きでわかりやすくまとめました。
「戸籍謄本に有効期限ってある?」
「結婚の手続きに戸籍謄本がいらないこともあるの?」
といったギモンも解消します!
「戸籍」とは?
まず初めに「戸籍」について。
聞いた事はあると思いますが、そもそも戸籍って何を指しているのでしょう?
「戸籍」とは、「国民の身分関係を登録しておき、それを証明する公文書」です。
…ムツカシイですね。
もう少し簡単に言うと、
「この人たちは親子ですよ」「夫婦ですよ」ということを、正式に証明してくれる書類
ということです。
戸籍って書類だったんですね。
戸籍上では、「夫婦とその未婚の子供」がひとまとまりとして扱われ、同じ戸籍に記載されます。
その戸籍の「原本」を管理している自治体(市区町村)を「本籍地」といい、戸籍はそこの役所でしっかりと保管されています。
例えば京都市が本籍地の場合、「戸籍の原本」は京都市役所に保管されています。
つまり、私たちが役所でもらう「戸籍」はすべて原本をコピーした「原本の写し」ということになるんですね。
なお、日本人どうしが婚姻届を提出して結婚すると、新しい戸籍ができて、二人ともそこに記載されることになりますが・・・
外国人との「国際結婚」の場合、外国人パートナーについては戸籍を作ることができません。
かわりに、日本人の戸籍の「身分事項」欄の「婚姻」という部分に、外国人パートナーの情報が書かれます。
国際結婚のときの戸籍について気になる人は、こちらを読んでみてくださいね。
「戸籍謄本」とは?
まずは読み方から。
「戸籍謄本」は、「こせきとうほん」と読みます。
「戸籍謄本(こせきとうほん)」には、この「戸籍の原本」にのっている内容が「全部」書かれています。
そして「その内容は正しいですよ~」と証明してくれる書類なんです。
戸籍謄本に載っている内容としては、以下のようなものがあります。
・本籍
・戸籍の筆頭者の氏名
・戸籍に記録されている全員の氏名、生年月日、父母の氏名と続柄、身分事項(出生・婚姻)
ちなみに、「戸籍の筆頭者」とは、戸籍の一番初めに名前が載っている人のことです。
戸籍謄本は「戸籍全部事項証明書」とも呼ばれます。
つまりフルバージョン。
「戸籍の内容『全部』を証明してくれる書類」というわけですね。
戸籍に入っている「全部の人の」情報がのっているのです。
また、戸籍謄本の「謄」とは、「原本どおりに写す」という意味だそうで、ここからも戸籍の原本を『そっくりそのまま』写した書類であることが分かります。
「戸籍抄本」とは?
「戸籍抄本」は、「こせきしょうほん」と読みます。
戸籍抄本は、戸籍にのっている人のうち、「一部の人(たいてい1人分)の内容だけ」を写して証明してくれる書類です。
「戸籍個人事項証明書」とも言います。つまり一部分だけの「簡易版」なんですね。
また、戸籍抄本の「抄」とは、「長い文章などの『一部を抜き出して』書く」という意味のようです。
漢字の意味からも違いが分かりますね。
婚姻届に必要なのはどっち?
婚姻届に使うのは、「戸籍謄本」と「戸籍抄本」どっちなのでしょう?
多くの市区町村では、「婚姻届といっしょに『戸籍謄本』を出してください」と言っています。
しかし、一部の市区町村では「戸籍謄(抄)本」が必要と書いてある場合も。
この場合は「謄本」「抄本」どちらを出してもOKです。
不安な人は事前に役所へ連絡して、どっちを出せばいいか聞いてみましょう。
なぜ戸籍謄(抄)本が必要なの?
そもそも、なぜ「婚姻届」の手続きに「戸籍謄(抄)本」がいるのでしょう?
役所での「婚姻届」の手続きは、次のように進みます。
【役所のお仕事】
1.婚姻届を受け取る2.結婚する二人それぞれの戸籍から情報を写して、新しい戸籍を作る。3.新しい戸籍に、「この二人は夫婦ですよ」と記録する。4.新しい戸籍が作られたことを、今までの本籍地に通知する。5.今までの本籍地にある戸籍から、結婚する二人の籍を抜く(除籍する)。
「戸籍謄(抄)本」がなぜ必要なのかというと、
それはつまり
結婚する二人の戸籍を新しく作るために必要な書類だから。
ということなんですね。
戸籍謄(抄)本がいらない場合もある?
実は、婚姻届の手続きに戸籍謄(抄)本がいらないケースもあるんです。
具体的には、「自分の本籍地で婚姻届を提出する」場合、戸籍謄(抄)本はいりません。
逆に言うと、「自分の本籍地とは別の市区町村で婚姻届を提出する」場合、戸籍謄(抄)本が必要になります。
わかりやすいように、次の例を見てみましょう。
この場合、
・夫は本籍地である新宿区で婚姻届を出すので、戸籍謄(抄)本は「不要」
・妻は本籍地が新宿区ではないため、戸籍謄(抄)本が「必要」
ということになります。
戸籍謄(抄)本の取り方
次に、「戸籍謄本」や「戸籍抄本」の取り方をご紹介します。
戸籍謄(抄)本は、「本籍地の役所」でもらえます。
「本籍地」というのは「戸籍の原本が置いてある場所」でしたね。
本籍地「以外の」役所へ行っても、戸籍謄(抄)本をもらえないのでご注意を。
戸籍謄(抄)本の取り方には、次の4つの方法があります。
1 「結婚する本人が」役所へ「直接行ってもらってくる」
一般的には、役所では平日の決まった時間しか対応してもらえないので、事前に受付時間を確認しておきましょう。
戸籍謄(抄)本の発行に必要なものは、次の3つです。
・本人確認書類
・手数料(1通450円)
・印鑑
申請用紙は役所に置いてあるので、それに記入して申請すれば、その場で戸籍謄(抄)本がもらえます。
ちなみに、発行に必要な「本人確認書類」には、次のようなものがあります。
どれか1枚の提示で本人確認ができるもの |
---|
運転免許証 |
マイナンバーカード |
パスポート など |
2枚以上提示しないと本人確認できないもの |
---|
国民健康保険、健康保険、船員保険などの被保険者証 |
国民年金手帳 など |
その他の本人確認書類についても知りたい人は、下記のページで確認してくださいね。
法務省:戸籍の窓口での「本人確認」が法律上のルールになりました
また、印鑑はシャチハタなどのゴム印は認められない役所も多いので注意しましょう。
手続きに使える印鑑について詳しく知りたい人はこちらをどうぞ。
婚姻届に使える印鑑はどれ?書き間違えたときの訂正印や捨印の押し方も解説!
2 「代理人が」役所へ「直接行ってもらってくる」
本人が直接役所へ行けない場合は、代理人に任せることもできます。
代理人が役所の窓口へ行くときは、次の持ち物が必要です。
・本人からの委任状
・代理人の本人確認のための書類
(免許証やパスポートなど)
・代理人の印鑑(シャチハタ不可)
・手数料(1通450円)
この中で聞き慣れないのは「委任状」ではないでしょうか。
委任状とは、法律上の手続きについて、本人から代理人へ「その手続きを行う権限を委任します」と証明する書類です。
重要な手続きについては、ちゃんと本人の意思にもとづいて代理人が申請していることを、役所の方で確認する必要があるんですね。
ただし、委任状が不要な場合もあります。
具体的には、自分の「親」や「祖父母」、「同じ戸籍に載っている未婚の兄弟姉妹」などを代理人にする場合、委任状はなくて大丈夫です。
委任状に書くのは、主に次のような内容。
・代理人の住所、氏名、生年月日
・委任する権限の内容(戸籍謄本の交付申請及び受領の権限 など)
・委任する年月日
・委任者(本人)の住所、氏名、生年月日、連絡先
委任者(本人)は自筆で署名・押印(シャチハタ不可)が必要です。
自治体によってはHPに委任状の記入用紙や記入例を載せていることもあるので、調べてみてはいかがでしょうか。
3 役所から「郵送してもらう」
本籍地が今の住所から遠い人や、平日役所に行けない人には、「郵送請求」がオススメです。
郵送してもらうためには、
「本籍地の役所の、戸籍をあつかっている部課」
に、次のものを送ってください。
・戸籍謄本の請求用紙
・運転免許証などの身分証明書のコピー1枚
・定額小為替(ていがくこがわせ)、または現金書留(げんきんかきとめ)
・返信用封筒
順番に解説していきますね。
戸籍謄本の請求用紙
各市区町村のホームページからダウンロードできます。
「ダウンロードができない」「ホームページが見つからない」といった場合は、かわりに便せんを使うこともできます。
その場合は各市区町村の担当者に電話して、書き方を教えてもらいましょう。
運転免許証などの身分証明書のコピー1枚
本籍地とは違う住所に住んでいる場合は、「いまの住所がわかる身分証明書(免許証など)」をコピーして送ってください。
定額小為替(ていがくこがわせ)、または現金書留(げんきんかきとめ)
戸籍謄本を郵送してもらうには、一通450円かかります。
ただし、市区町村によって手数料が違う場合もあるので、役所のホームページや電話で事前に調べてみてください。
手数料の支払いには、「定額小為替」や「現金書留」を使います。
「定額小為替」は郵送用の金券のようなもの。
現金の代わりとして送ることができます。
「現金書留」は現金を専用の封筒に入れて送る仕組みのことです。
こちらについても、市区町村によって「支払い方法は定額小為替のみ」といった条件がある場合もあるので、必ず事前に確認しておきましょう。
返信用封筒
返信用封筒には自分の宛名を書き、切手を貼っておきましょう。
郵送してもらう場合は、請求してから手元に届くまでに1~2週間かかります。
余裕をもって、早めの行動が必要です。
4 コンビニで申請できる市区町村も
市区町村によっては、コンビニのマルチコピー機を使って戸籍謄本を発行できるサービスもあります。
コンビニ交付なら役所に行かなくて良いですし、役所の開いていない土日や祝日、夜間でも利用できるので便利です。
ただし、今住んでいる場所が本籍地でない場合は、前もって本籍地の市区町村に「利用登録申請」をする必要があります。
利用登録申請も、コンビニのマルチコピー機で行うことができますよ。
または、マイナンバーカードを読みこめるICカードリーダーをパソコンに接続すれば、下記ページからネットでの利用登録申請も可能です。
証明書交付サービス<コンビニ交付>
戸籍証明書交付の利用登録申請
なお、利用登録申請をしてから利用できるようになるまでは、数日から1週間ほどかかることもあるので注意しましょう。
自分の住んでいる市区町村がコンビニ交付に対応しているかどうかは、下記のページで確認できます。
以上、戸籍謄本の取り方でした。
わからない点があれば、市区町村の役所の担当者に問い合わせてみて下さい。
きっと丁寧に教えてくれますよ。
戸籍謄(抄)本に関するQ&A
有効期限ってあるの?
場合によっては、戸籍謄(抄)本を取得してから婚姻届の提出までに、時間が空くこともあるかもしれません。
その場合、「戸籍謄(抄)本に有効期限ってないのかな?」という点が気になるのではないでしょうか。
結論から言うと、戸籍謄(抄)本に明確な有効期限はありません。
ただ、提出先によっては「発行から何ヶ月以内のもののみ有効」といったように定めがあることも。
不安なら、婚姻届を出す予定の役所に問い合わせてみるといいでしょう。
一般的には「発行から3ヶ月以内」が目安とされているようです。
また、戸籍の内容に変更があって、それが反映されていない古い戸籍謄(抄)本を出してしまうと、再提出を求められることもあります。
たとえば、自分の兄弟姉妹が結婚して新しい戸籍に移った場合。
自分が持っている古い戸籍謄本には兄弟姉妹が載っているけど、最新の戸籍謄本には載っていない・・・なんてことがあるので気をつけましょう。
提出期限はいつ?
「婚姻届の提出までに戸籍謄本の用意が間に合わなさそうなんだけど・・・戸籍謄本だけ後から提出ってできるのかな?提出期限はある?」
と気になっている人。
基本的には婚姻届を出すときに戸籍謄(抄)本も必要です。
ただ、自治体によって
「戸籍謄本は後日提出でもOKだった」
「戸籍謄本がないと婚姻届は受理されなかった」
など、状況が違うことも。
「どうしても戸籍謄本が間に合わないけど、この日に婚姻届を出したい」
という希望があるなら、一度役所に確認してみるといいかもしれません。
戸籍謄(抄)本だけ後日提出する場合、ハッキリした提出期限はないようですが、早い方が良いのは間違いないでしょう。
なぜかというと、たとえ婚姻届が受理されても、戸籍謄(抄)本がないと二人の新しい戸籍が作られないからです。
新しい戸籍ができないと、新しい戸籍謄(抄)本を発行することもできません。
新しい戸籍謄(抄)本はパスポートの名義変更などの手続きに必要なため、発行できないと困ってしまうかも。
婚姻届と戸籍謄(抄)本を同時に提出した場合でも、新しい戸籍謄(抄)本をもらえるようになるまで5日~1週間くらいはかかるのが一般的。
戸籍謄(抄)本だけ後日提出する場合は、新しい戸籍ができるまで、さらに時間がかかることになります。
できるだけ早く提出するようにしましょう。
新しい戸籍ができるまでに使える証明書は?
「婚姻届と戸籍謄本を同時に提出できたけど、海外挙式をするから早くパスポートの名義変更をしたい」
「戸籍謄本の提出が遅れて、新しい戸籍謄本をもらえるようになるまで思ったより時間がかかりそう・・・」
そんなときに役立つのが、「婚姻届受理証明書」。
「婚姻届受理証明書」は、婚姻届が受理された後に発行できる書類で、「二人が法的に夫婦であること」を証明してくれます。
新しい戸籍謄(抄)本が発行できない間は、婚姻届受理証明書を仮の証明書として使えますよ。
婚姻届受理証明書について詳しくは、こちらをどうぞ。
まとめ
「戸籍謄本」は、戸籍を「全部」写した書類。
「戸籍抄本」は、戸籍の「一部」を写した書類です。
多くの場合、婚姻届と一緒に出すのは戸籍「謄本」の方。
市区町村によっては「抄本」でもOKな場合があります。
気になる人は、役所へ確認してみましょう。
また、戸籍謄本・抄本をもらえるのは、戸籍が置かれている「本籍地の役所だけ」ということでした。
ただ、最近ではコンビニ交付サービスを行っている自治体もあるので、調べてみると良さそうです。
本籍地から離れたところに住んでいる人は郵送してもらうこともできますが、手元にとどくまでには少し時間がかかるので注意しましょう。
婚姻届の提出の流れについては、こちらの記事で詳しく説明しています。あわせて読んでみてくださいね。
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