【結婚式の留袖マナー】黒留袖を着るのは誰?立場別の選び方や着こなしをご紹介
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大切な親族や知人の結婚式。
格式高い「留袖(とめそで)」を着て、出席しようと思っている人も多いのではないでしょうか。
そんな時に気になるのが、自分の立場にふさわしい着物の選び方。
そこで今回は、留袖の選び方を立場別に詳しくご紹介!
留袖に合わせる小物や、気を付けたいマナーについても解説しますので、ぜひ読んでみてくださいね。
「留袖」ってどんな着物?
袖が短く、着物の裾部分だけに模様が入った着物のことを「留袖」と呼びます。
昔は、振袖の長い袖を短くカットして、ワキ下の開き部分を縫い留めて作られることが一般的だったため、「留袖」という名前がついたと言われていますよ。
そんな留袖の中でも地の色が黒のものを「黒留袖」、黒以外のものを「色留袖」と分類しています。
黒留袖は既婚女性が着る最も格式高い着物。
色留袖は、既婚・未婚問わず着用することができ、「紋の数」で格が変わります。
ここで紋の数について、少し詳しく見ていきましょう。
紋の数で格が変わる
そもそも「紋(紋章)」とは、家や個人、団体などを表すしるしのこと。
紋の数は「五つ紋」「三つ紋」「一つ紋」の3パターンがあり、数が多いほど格式が高くなります。
それぞれの紋を入れる場所はこんな感じ。
五つ紋
背中、両袖、両胸に紋を入れます。
三つ紋
背中と両袖に紋を入れます。
一つ紋
背中にひとつ、紋を入れます。
ちなみに「黒留袖」は基本的に五つ紋のみです。色留袖は「五つ紋」の他に「三つ紋」や「一つ紋」のものもあります。
黒留袖か色留袖か、色留袖なら紋の数はいくつか・・・という組み合わせで、ふさわしい立場が変わってくるんですよ。
「じゃあ私はどれを着ればいいの・・・?」
と思った人。
続いて、立場別に留袖の選び方を見ていきましょう!
【立場別】留袖の選び方
留袖を着るのは主に新郎新婦の親族。
そこで親族を中心に立場別の選び方を解説していきます。親族以外のゲストについては、最後にまとめてご紹介しますね。
母親
新郎新婦の母親は、最も格の高い「五つ紋」の黒留袖を着るのが一般的。
母親はゲストをおもてなしする立場なので、最も格の高い着物を着て、ゲストへの敬意や感謝を示すという意味合いがありますよ。
ただ最近では、カジュアルな雰囲気の結婚式も増えてきているので、母親が黒留袖を着ないケースもあるようです。
もちろん「母親衣裳=黒留袖」と決まっているわけではないので、結婚式の雰囲気や新郎新婦の希望によっては、黒留袖以外を着ても問題ありません。
母親の服装選びのポイントについては、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。
【結婚式の母親の服装マナー】ドレス?和装?晴れの日にふさわしいフォーマルな服装をご紹介
祖母
祖母も、母親と同じく「五つ紋」の黒留袖を着ます。
母親より少し控えめな柄を選ぶようにするといいですよ。
また祖母の場合、年齢や体調によっては、着物を着るのが大変という場合もありますよね。
そんなときはもちろん無理せず、祖母だけ洋服で出席しても大丈夫です。
おば
おばは既婚であれば黒留袖、未婚であれば色留袖を着るケースが多いよう。
祖母と同じく、柄の色や数を抑えるなどして、母親よりも控えめな装いを心がけましょう。
吉祥文様などの伝統的な柄を選ぶと品よく見えますよ。
また、色留袖を着る場合は、淡いベージュや薄い水色などの優しい色を選ぶと、大人女性にふさわしい上品な印象になります。
ちなみに親族の場合は、色留袖を着る場合も「五つ紋」にするのが一般的でしたが、最近は結婚式以外でも使えるような「三つ紋」や「一つ紋」で用意する人が増えているようです。
姉妹・いとこ
姉妹が留袖を着る場合も、既婚であれば黒留袖、未婚であれば色留袖を選ぶのが基本。
ただ、
「私は既婚だけど、若いから黒留袖は地味すぎるような・・・もう少し、明るい色味がいいな」
という人は、既婚でも色留袖を選んでOK!
若い女性が色留袖を着るときは、薄めのピンクや淡いオレンジなどの明るい色を選ぶと、かわいらしい印象になりますよ。
紋の数については、おばと同じく「三つ紋」や「一つ紋」を選ぶことが増えているようです。
また黒留袖でも、柄の範囲が大きく色数の多いものは、比較的若い人向けと言われているので、そういった柄のものを選ぶのもいいですね。
一方、いとこはやや遠い親戚になるので、黒留袖は選ばず、「三つ紋」や「一つ紋」の色留袖を選ぶといいでしょう。
親族の服装マナーについては、こちらの記事も参考にしてみてくださいね。
結婚式に親族として出席!両親・兄弟姉妹・親戚…立場別の服装マナーは?
その他のゲスト
親族以外で留袖を着るのは、仲人夫人や主賓などです。
仲人夫人は黒留袖を着るのが一般的ですが、両家の母親が黒留袖を着ない場合は、母親よりも格が高くなってしまわないように、色留袖を着ることもあります。
また主賓や会社の上司など、一般ゲストよりも格の高い装いを求められる人が、色留袖を選ぶことも。この場合は、親族より格上になる「五つ紋」は避け、「三つ紋」か「一つ紋」の色留袖を選ぶといいですよ。
ただ親族以外のゲストが色留袖を着ていると、親族に間違われることもあるので、避けた方が無難との声もあるようです。
特に友人や同僚なら、留袖ではなく訪問着を着るのがおすすめです。
「訪問着」とは、上から下までひとつなぎの模様が入った着物で、色留袖に次ぐ格の着物とされています。
先ほどご紹介した「いとこ」が、訪問着を着るのもOKですよ。
訪問着など留袖以外の着物については、こちらの記事で詳しく解説しています。
結婚式の着物はどう選ぶ?親族・友人・会社関係など立場別に選び方&マナーをご紹介
以上、立場別の選び方をご紹介しました。
まとめると・・・
「五つ紋の黒留袖や色留袖は、もっとも格式が高く、親族や仲人夫人のみが着るもの。
ただ最近では、結婚式以外でも着られるように、親族でも三つ紋以下の色留袖を用意するケースも増えている。
主賓や上司などその他のゲストは、親族より格が高くならないように、三つ紋以下の色留袖を着る。」
ということですね。
着物の格は立場によって、高すぎても低すぎてもマナー違反と言われています。
自分の立場に合わせて、選んでくださいね。
留袖を選ぶときの注意点
「比翼仕立て」のものを選ぶ
「比翼(ひよく)仕立て」とは、襟や袖など、周りから見える部分に白い生地を縫い付けて、重ね着しているように見せる仕立てのこと。
もともと結婚式で留袖を着るときは「長じゅばん」と「留袖」の間に、もう1枚「白い着物」を重ね着していたそう。
重ね着には「めでたいことを重ねる」という意味が込められていたそうですよ。
でも、着るものは少しでも減った方が身軽ですよね。
そこで重ね着を簡略化した「比翼仕立て」が主流になってきました。
「比翼仕立て」は、着やすくてかつ、重厚に見えるのがいいところです。
結婚式で留袖を着る場合はこの「比翼仕立て」のものを選ぶのがマナーと言われていますよ。
花嫁衣裳と被る色味は避ける
色留袖を着る時は、花嫁衣裳と被らないよう色味にも注意したいところ。
花嫁の和装として人気の「色打掛」には、赤・オレンジ・金といった華やかな色がよく使われます。
なのでゲストが色留袖を選ぶときは華やかな色を避けて、柔らかく明るい色を選ぶといいですね。
例えば20~30代の女性なら、明るめのピンクやオレンジ、40代の女性はベージュやうぐいす色、50代以上はグレーや藤色などがおすすめですよ。
また、白地の着物はマナー違反ではありませんが、やはり「白は花嫁の色」のイメージが強いもの。
あえて選ばない方が良さそうです。
主役はあくまで花嫁。
花嫁と着物の色が被ったり、花嫁より目立ったりしないように、気をつけたいですね。
留袖に合わせる小物選び
留袖を着るときには、着物以外にも必要な小物が色々あります。
ひとつずつチェックしていきましょう。
帯・帯まわり
帯
基本的に、2枚の帯の生地を袋のように縫い合わせた「袋帯」を使います。
金糸銀糸などで編まれた、格調高いものを選ぶといいでしょう。
柄は「鶴」「亀」などの縁起のいい柄がおすすめですよ。
また結婚式に着るような礼装では、「二重太鼓」という結び方をするのが一般的。
「二重太鼓」には、「喜びが重なるように」という意味があるそうで、おめでたい場面でよく使われる結び方です。
帯の結び方をアレンジする「変わり結び」もお洒落ですが、少しカジュアルな印象になるので、「黒留袖」を着る場合は避けた方がよさそう。
「色留袖」の場合、若いゲストなら太鼓結びの上に飾りとして「羽」を出すなど、少し変わり結びにするのも華やかで素敵です。
ただ、変わり結びにすると袋帯に折り跡がついてしまい、次に二重太鼓にする時に困るということも・・・。
特に金糸や銀糸をたくさん使った豪華な帯は跡が残りやすいようです。
大切な帯を使う場合は、気を付けたほうがいいかもしれませんね。
帯締め・帯揚げ
「帯締め」は帯の真ん中より少し下くらいに締める紐のこと。
「帯揚げ」は、帯の上から少し見せる飾り布のことです。
帯締め・帯揚げ共に留袖には「白」か、「白地に金糸銀糸で飾りのついたもの」を選びます。
三つ紋以下の色留袖なら、淡い色がついたものでOKな場合もありますよ。
装飾品・小物
半襟
長じゅばんにつける衿のことです。
留袖に合わせる半衿は必ず「白」を選びます。
末広
末広とは、留袖用の扇子です。
帯と帯揚げのあいだに差しておきます。
あくまで儀式用の小物なので、広げたり、あおいだりして使うことはありません。
これは他の着物とは違い、留袖ならではの小物なので忘れないように準備しましょう。
持ち手などの「骨」の部分が黒塗りで、紙の色は金か銀のものを選ぶのが一般的です。
バッグ
黒留袖や、五つ紋の色留袖なら、バッグは「白」がおすすめ。
それ以下なら、白に限らず、淡い色のフォーマル用のバッグを選べばOKです。
草履・足袋
格式高い留袖には、「金・銀」を基調にした草履がよいでしょう。
台と鼻緒は同じ色・素材でできたものが結婚式向きです。
また、バッグと色味やデザインを揃えると、洗練されたコーディネートになりますよ。
足袋は「白」を選びましょう。
詳しくはこちらの記事もチェックしてみてください。
留袖にまつわるQ&A
Q.アクセサリーはつけていいの?
着物では基本的に、髪飾りと結婚指輪以外のアクセサリーはつけないとされています。
髪飾りを身に着ける場合は、留袖の格に合わせて、べっ甲や漆などの高級感のある「かんざし」を選ぶといいですよ。
他に、着物のアクセサリーとしては、帯締めに通す「帯留」がありますが、結婚式の留袖ではつけないほうが正式なようです。
またアクセサリーとは少し違いますが、香水にも要注意。
香水はつけてもOKですが、香りが着物に付着して取れなくなったり、香水が染みて生地が変色したりする可能性があるので、注意してくださいね。
Q.留袖に合わせる髪型は?
留袖には、上品にまとめた清潔感のある髪型がピッタリ。
髪が短くてまとめられない場合は、もちろんダウンスタイルで大丈夫です。
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ショートやボブなら、髪の根元を立ち上げてトップにボリュームを出したり、軽く巻いたりすると華やかな印象になりますよ。
ミディアム・ロングの場合はアップスタイルにまとめましょう。
後頭部にふんわりとボリュームを持たせた「夜会巻き」はエレガントな雰囲気になるので、格式高い黒留袖にもよく似合います。
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他にも、髪をまとめて作るシニヨンは、低めの位置でまとめると落ち着いた雰囲気になるのでおすすめです。
一方、後れ毛をわざと出すようなルーズなヘアスタイルや、盛り髪などの個性的なスタイルは避けた方が無難。
先ほどお伝えしたようにかんざしはつけてもOKですが、派手すぎるデザインのものは避けた方が安心です。
こちらの記事では、留袖に合う髪型をご紹介しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
留袖に合う50代向けの髪型10選!ショートヘアの母親にピッタリのアレンジもご紹介
Q.当日の振る舞いで気を付けることって?
せっかく留袖を着るのですから、立ち振る舞いも上品にしたいところ。
留袖に限らず着物を着ているときは、裾がはだけてしまわないように「小股・内股」を心がけて歩きましょう。
また、車に乗るときはお尻から座るようにして、降りる時は脚から先に降りると、はだけにくいですよ。
椅子に座るときは浅く腰掛けます。
帯が崩れないよう、背もたれにもたれないのもポイントです。
また食事中は袖が汚れないよう、袖に片手を添えるといいですね。
少し疲れそうですが、立ち振る舞いを美しくすると着物姿がいっそう輝きますよ!
まとめ
留袖は袖が短く、裾だけに模様が入った着物。
留袖の中でも、地の色が黒のものは「黒留袖」、黒以外のものは「色留袖」と呼ばれています。
黒留袖は、既婚女性が着る最も格式高い着物。
色留袖は、既婚・未婚を問わず着用でき、紋の数によって格が変わります。
母親や祖母などの近しい親族、仲人夫人は黒留袖を。
いとこなどの遠い親族や、主賓、上司は色留袖を選ぶといいですよ。
また友人や同僚などのゲストは、留袖ではなく訪問着を選ぶのがベターです。
そして留袖に必要な小物類を選ぶときは、種類や色が留袖の格と合うようにご注意を。
マナーを意識した着こなしで、上品な留袖姿を目指しましょう!
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