結婚したら必要?死亡保険の基礎知識
生命保険の中でも、加入者の生死にかかわる時に備えるのが「死亡保険」。
家族が増えて、万が一があったとき、のこされる家族のために、死亡保険にも加入するべき…?
今回は、死亡保険の概要や必要性について、詳しく解説!
死亡保険にはどんな種類があるのか、自分に必要な保障額の考え方など、死亡保険の基礎知識をわかりやすくご紹介します。
「死亡保険」ってなに?必要なもの?
「死亡保険」とは?
「生命保険」という言葉は、聞いたことがある人も多いですよね。
「生命保険」には、様々な種類があります。
特に、結婚時期に考えるものには
被保険者(保険の対象になる人)の生死にかかわる時の保障として、「死亡保険」
病気やケガをして入院や手術をしたときに保障が受けられる「医療保険」
などがあります。
宮本:
今回は、保険にかけた人(=被保険者)が亡くなってしまった場合に、のこされた家族が保険金を受け取ることのできる「死亡保険」について、詳しく見ていきましょう。
「死亡保険」では、被保険者が亡くなった時のほかに、高度障害状態(重い障害が残ること)になったときや、余命6ヶ月以内、などと診断がされたときにも、保険金を受け取れるのが一般的。
険太郎:
働けないほどの重い障害が残ったり、万が一があった場合、家族になるべく迷惑はかけたくないな~
宮本:
生活費や子どもの学費、葬儀代などに困らないように、のこされた家族が保障を受けられるようにするのが、死亡保険なんですね。
貯金しておけばいいんじゃないの?
保子:
家族のために残すお金なら、保険じゃなくてコツコツ貯蓄しておけばいいんじゃないですか?
宮本:
何も起こらなければ、それでもいいと思います。
ただ、貯金には貯金の、保険には保険の役割があるので、うまく使い分けられるといいと思いますよ。
貯金と保険、それぞれの果たす役割について、見ていきましょう。
貯蓄の場合、お金が十分に貯まるまでには期間が必要ですよね。
例えば、「自分に万が一のことがあったときのため、家族のため1,000万円の貯金をしておこう!」と決意しても、目標額が貯まるまでには、かなりの年月がかかりそう。
宮本:
毎月5万円貯金しても、1,000万円貯めるには16年以上かかりますよね!
一方の保険は、加入してすぐに保障期間が始まります。
もし貯金を始めて1年後に突然死亡した場合、家族のために残せる金額はそこまで無いでしょう。
でも死亡保険があれば、たとえ加入した次の日に被保険者が亡くなったとしても、契約に定めた内容を満たせば、保険金を受け取ることができます。
「万が一」が、いつ起きても家族が困らないよう、備えられるのが保険なんですね。
死亡保険は必要?
険太郎:
みんな、死亡保険って加入してるんですか?どれぐらい加入してるんだろう…
生命保険(個人年金を含む)の世帯加入率は89.8%となっています。
(生命保険文化センターによる、2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉より引用。以下同じ)
宮本:
たくさんの人が、何らかの生命保険に加入していることがわかりますね。そして、夫婦の生命保険加入実態はこんな感じです。
世帯主・配偶者ともに加入 ・・・78.3%
世帯主のみ加入 ・・・8.2%
配偶者のみ加入 ・・・2.1%
世帯主・配偶者ともに未加入・・・11.5%
険太郎:
約90%近くの夫婦が、何らかの生命保険に加入しているんですね。
独身なら、自分が突然亡くなったとしても、かかる費用や必要なお金は、お葬式費用くらいかもしれません。
その分を、まかなえる貯蓄があれば、死亡保険に入らなくても大丈夫そう。
でも貯蓄が少ない場合や小さな子どもがいる場合は、将来に向けてお金が必要になります。
万が一に備えて、保険があるといいかもしれませんね。
保子:
死亡保険が必要かどうかは、自分たちの今の貯蓄状況や、生活費、子どもの進路や教育費に合わせて考えるといいんですね。
宮本:
そんな感じです。そして、必要な金額も家庭事情により、それぞれです。
では次に、自分たちにどれくらいの保障額が必要なのか、「必要保障額」の考え方について見ていきましょう。
「必要保障額」とは?
必要保障額ってなに?
「必要保障額」とは、万が一があったときに、のこされた家族が生活していくために必要な金額のこと。
宮本:
遺族には生活費や子どもの養育費などが必要になりますからね。ただ、それらをすべて保険でカバーするわけではありません。
働いて得る収入や国からの遺族年金もありますよね。
これらの収入から、将来必要になる支出を計算して、足りない分が、「必要保障額」となります。
「収入(給料などの収入+遺族年金+貯蓄等)」-「今後の支出」=「必要保障額」
宮本:
シミュレーションの結果、不足がある場合には、この必要保障額分を保険で準備しておけばOKです!
保子:
お互いに、万が一の時に、働き方や将来どうしたいか、を考えておくことが大切なんですね。
宮本:
そのとおりです。
こうした将来に向けた計画を、ライフプランニング、といいます。
遺族年金について
遺族年金とは、国民年金や厚生年金に入ってる人が無くなったときに、遺族が受け取れるお金のこと。
宮本:
給料明細を見ると、会社員なら厚生年金保険料が引かれていますよね。
ここから、遺族に年金が支払われます。
険太郎:
老後に受け取る年金のために、支払っていたのかと思っていました。万が一、死亡した場合も、遺族に支払われるんですね。
・国民年金の加入者(主に自営業の方)は、「遺族基礎年金」・厚生年金の加入者(会社員・公務員)は、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」のいずれか、もしくは両方 を受け取れます。
受け取ることのできる年金の種類は、次のようなイメージです。
遺族基礎年金は、亡くなった人によって生計を維持されていた「子どものいる配偶者」か、もしくは「子」自身が受け取ることのできる年金です。
※18歳になった年度の3月31日までの間にある子どものみ
遺族厚生年金は、亡くなった人によって生計を維持されていた遺族が受け取ることのできる年金。
保子:
受け取れる年金の種類や金額は、亡くなった人の職業や子どもの有無、年齢によって変わるんですね~
必要保障額はライフステージによって変化
家族にとっての必要保障額が、今も10年後もずっと同じというわけではありません。
例えば、自分が独身で養うべき家族もいない場合は、必要保障額はそれほど高額ではないでしょう。
でも結婚して配偶者ができたり、子どもが生まれたら、必要保障額がアップ。
自分に万が一のことがあっても、家族の生活が不安定にならないよう、子どもに十分な教育と生活を提供できるよう、しっかりとした必要保障額の設定が重要です。
この他にも、住宅を購入した場合には、住宅ローンを組む人が多いですよね。
住宅ローンを組む際には、「団体信用生命保険」に加入します。
団体信用生命保険は、もし住宅購入後に自分が死亡したら、住宅ローンは団体信用保険が返済してくれるんです。
険太郎:
なるほど~マイホームがあれば、のこされた家族はローンを返済する必要がなくなるから、今後の生活費に住居費を心配しなくてOK、ってことですね。
宮本:
住宅を購入して団体信用生命保険に加入したら、死亡保険の必要保障額は減少すると考えていいでしょう。
また、子どもが成長するにつれて、この先必要な教育費・養育費は減少。
子どもが独立している場合はなおさら、必要保障額は減りますね。
このように、ライフステージによって必要保障額はアップダウンするもの。
死亡保険の保障額は自分で選べます。
タイミングごとに保険内容の見直しを考え、必要保障額に合った契約をすることが大切ですよ。
みんなの保障額はどれくらい?
死亡保険に加入している人は、どれくらいの保障額に設定しているのでしょうか?世帯主の年齢別にみた、平均保障額はこちら。
世帯普通死亡保険金額(全生保)
【世帯主年齢別】全 体 ・・・2,027万円
29歳以下 ・・・1,754万円
30〜34歳 ・・・2,516万円
35〜39歳 ・・・2,525万円
40〜44歳・・・2,714万円
45〜49歳 ・・・2,980万円
50〜54歳 ・・・2,296万円
55〜59歳 ・・・2,312万円
60〜64歳 ・・・2,033万円
(生命保険文化センターによる、2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査〈速報版〉より引用)
全体を見てみると、30~64歳までの世帯が2,000万円を超える保障を選んでいます。
皆さん、ライフステージに合わせて必要な保障額の死亡保険を選択しているようですね。
宮本:
そんな死亡保険には、いくつか種類があります。次は、死亡保険の種類について見ていきましょう。
死亡保険の種類
死亡保険は、保障期間で大きく分けると、こちらの2種類になります。
①終身型の死亡保険②定期型の死亡保険
①「終身型」の死亡保険
「終身型」の場合、被保険者が死亡するまで一生涯の保障が続きます。
保険料・保障額も加入時の契約のまま、一生涯変わることがありません。
途中で解約した時には、まとまったお金が戻ってくるので、「貯蓄性のある保険」といわれています。
そのかわり、今からご説明する「定期型」に比べると、保険料は少し高めの設定になりますよ。
②「定期型」死亡保険
「定期型」の死亡保険とは、契約で決められた一定期間のみを保障する死亡保険です。
保障される期間が「10年」「15年」などと決められており、満期がきたら更新を繰り返すタイプと、「60歳まで」など満期がきたら契約が終了するタイプなどがあります。
更新するタイプでは、更新のたびに保険料が再計算され、年齢が上がるごとに、リスクが上がる分保険料が高くなるのも特徴。
定期型の死亡保険は解約しても、戻ってくるお金はありません。
また、契約終了(満期)を迎えたときに生存していても、今まで払い込んだ保険料が返ってくることはありません。
だから貯蓄性はなく、「掛け捨て」の保険といわれています。
その分、終身型よりも保険料が安く設定されているんですね。
なお定期型の中には、次のような保険もあります。
収入保障保険
保険期間中に死亡した場合、満了時まで毎月お給料のように「毎月15万円」という風に、保険金を受け取ることができます。
一括で受け取ることもできますが、その場合は保険金が減額されるので注意が必要。保険期間は契約時に決めます。
例えば30歳で加入し、60歳までの保険期間で、加入してすぐに死亡した場合、約30年にわたり保険金を受け取ることができます。
加入から年月が経つほど、保障を受けられる期間と保険金の総額が減るのも特徴。
そして一般的には、保険会社によって「最低保障期間」が定められていることが多いよう。
例えば、保険満期の1ヶ月前に死亡した場合でも、保険会社が定めている最低保障期間(1年、2年など)は保険金を受け取ることができますよ。
収入保障保険は、定期保険に比べて必要保障額がだんだん減っていくタイプの保障なので、その分保険料も割安です。
養老保険
養老保険も、保険期間が決まっている定期保険の一種。
保険期間満了までに死亡した場合には保険金が支払われ、満了時まで生存していた場合には「満了保険金」として死亡時と同じ金額を受け取ることが出きます。
死亡のリスクに加え、老後の資金として貯蓄性もある保険なんですね。
貯蓄性がある分、ほかの死亡保険よりも保険料は割高になります。
険太郎:
色々あるんですね。でも、終身型、定期型・・・自分はどちらを選べばいいの!?と迷ってしまいます
宮本:
次は、死亡保険の選び方について見ていきましょう。
終身保険と定期保険、どちらがいいの?
終身保険はどんな人におすすめ?
終身保険は解約時に返戻金がもらえるので、「保険と貯蓄を兼ねたい」と思っている人におすすめです。
終身保険は保障が一生涯。
例えば、子どもが小さいうちに万が一自分が死亡した際、のこされた家族が困らないよう備えたい。
でも、もし健康で長生きし、子どもも独立した際には解約して老後の資金に充てる・・・という使い方もできますよね。
宮本:
定期保険と比べて保険料は割高で、保障額は少なくなります。
保険に貯蓄性を求める人や掛け捨てタイプじゃもったいないと思う人におすすめです。
ただし、契約から解約までの期間が短いと、解約返戻金が払った保険料より大幅に少なくなることもあるのでそこは要注意です。
定期保険はどんな人におすすめ?
定期保険は、保険期間が限られる分、保険料が抑えられるのがポイント。
宮本:
低い保険料でしっかりした保障額を求める人におすすめです。
万が一の際、子どものためにしっかりとお金を残してあげたいと思っていても、終身型の保険では保険料がかなり割高になってしまいます。
一方、定期型なら、同じ保障額でも保険料を抑えることができます。
保子:
これから、家族が増えたりライフプランが変わるなら、定期型の保険を考えておくといいんですね。
宮本:
定期保険の中にも、収入保障などいろんなものがあります。自分たちにピッタリのものを考えるといいでしょう。
保障内容はもちろんですが、毎月の保険料を無理なく支払えるというのも保険選びの大切な条件。
自分たちに必要な保障や保険会社へ支払う保険料のバランスを、ライフステージに合わせて選んでいけるといいですね。
【監修者・執筆】
宮本 亮太朗
ファイナンシャルプランニング技能士2級<主な職歴>
2011年:損害保険会社に入社。2016年9月~グループ子会社で保険代理店の代表取締役社長に就任。2020年6月まで、大企業~中小企業などの企業向け保険に加え、個人向けの生命保険、火災保険などの損害保険の提案などに従事。「仕事柄、自分自身でも色んな保険に加入しました。現役子育て世代としての視線も交えつつ、経験談から失敗談までリアルな情報をお届けします」
まとめ
「死亡保険」について、詳しくご説明しました。
「死亡保険」とは、被保険者が亡くなった時(高度障害になった時)、遺族が保険金を受け取ることのできる保険のこと。
貯蓄は貯めるまでに期間が必要ですが、死亡保険は加入してすぐに保障期間が始まるというメリットがあります。
生命保険(個人年金を含む)の世帯加入実態は89.8%
夫婦の加入実態としては、約90%近くの夫婦が何らかの生命保険に加入しているとのデータも。
自分が万が一亡くなったとき、遺された家族に必要となるお金が「必要保障額」で、それはライフステージごとに変わります。
死亡保険の種類は、一生涯保障が続く「終身型」と、一定期間保障する「定期型」。
「終身型」は保険に貯蓄性を求める人におすすめで、保険料を抑えて高額保障を受けたい人には「定期型」がおすすめです。
死亡保険は、遺された家族の生活を助けてくれるもの。
保険料と保障のバランスを、自分のライフステージに合わせて選ぶといいですね。
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