もしもに備えて知っておきたい!「がん」ってどんな病気?
「がん」は、生きていくうえで身近にひそむ病気のひとつ。
まだまだ自分には関係ないかな・・・?と思いつつ、結婚して家族ができたらなおさら、「もしも」の時が気になりますよね。
そこで今回は、がんという病気についてわかりやすく解説。
がんになったときの治療法や、かかるお金についてもご説明します。
※この記事は、国立がん研究センター、厚生労働省など公的機関の情報を基に掲載しています。
「がん」ってどういう病気?
「がん」とは?
「がん」という病名は聞いたことがあっても、それがどんな病気なのか、あまり知る機会が無い人も多いのではないでしょうか?
今回は「がん」が、どんな病気なのか、知るところから始めていきましょう。
険太郎:
「がん」と聞くと、こわい病気なんだろうな~というイメージがあります
宮本:
こわい、というイメージの理由には
テレビドラマでの宣告シーンや
治らない病気、というイメージがあるのかもしれませんね
保子:
がんにかかると、長期間の治療になるイメージもあって、ちゃんと備えておかなきゃな、とも思います
「がん」とは「悪性腫瘍(あくせいしゅよう)」とも呼ばれる病気のことです。
宮本:
「がん」は、日本人の死因上位を占める病気の1つ。「がん」のほかに、
「心疾患(急性心筋梗塞)」「脳血管疾患(脳卒中)」3つをまとめて「三大疾病」ということもあります。
「腫瘍」とは、何らかの原因で発生した異常な細胞のかたまりのこと。
腫瘍がすべて「がん」ということではなく、腫瘍にも「良性腫瘍(りょうせいしゅよう)」という「がん」以外のものもあるんです。
周囲に浸潤したり違う場所に転移もせず、ゆっくりと増殖する腫瘍は「良性腫瘍」と呼ばれ、「がん」とは異なります。
一方、腫瘍の中でも、増殖しながら周囲に浸潤したり、ほかの部位にも新しい腫瘍を作って転移したりするものは「悪性腫瘍(がん)」と呼ばれています。
国立がん研究センターがん情報サービス『がん登録・統計』のデータによると、日本人の2人に1人は、人生で何らかの「がん」にかかると言われているそう!
性別で詳しく見ると、生涯で「がん」になる確率は、男性:65%、女性:50%と言われています。
険太郎:
男性は約3人に2人、女性は2人に1人がかかるということなんですね。
宮本:
一方、がんにより死亡する確率は、
男性は27%、女性は18%と言われています。
がんは治らない病気、とイメージする方も多いかもしれませんが、実際は「がん」にかかったからと言って、必ず死ぬというわけではないことも分かりますね。
若いうちは「がん」の心配はいらない?
結婚したばかりの夫婦は、「がんの心配は、もっと高齢になってから・・・」と思う人もいるでしょう。
でも、「がん」は誰でもかかる可能性のある病気。
これは多くの病気にいえることですが、生活習慣である程度予防はできても、完全に防ぐことは難しいものです。
実際、どれぐらいの年齢で「がん」にかかる人が多いのでしょうか?
年齢別のがん罹患率はコチラ。
(出典)厚生労働省「平成30年全国がん登録 罹患数・率 報告」20-64歳を抜粋
保子:
高齢になるほど、「がん」になる人が多いんですね。
宮本:
20~50代ぐらいでは、女性の方が「がん」の罹患率が多いこともわかりますね。
次に、年代別にどの部位の「がん」が多いのかを見てみましょう。
がん(悪性腫瘍)の罹患率ランキング(男女計)
順位 | 20-29歳 | 30-39歳 |
---|---|---|
1位 | 胚細胞腫瘍・ 性腺腫瘍 | 女性乳がん |
2位 | 甲状腺がん | 子宮頸がん |
3位 | 白血病 | 胚細胞腫瘍・ 性腺腫瘍 |
4位 | リンパ腫 | 甲状腺がん |
5位 | 子宮頸がん | 大腸がん |
(出典)国立研究開発法人国立がん研究センターから抜粋//ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/child_aya.html
保子:
30代の上位を見ると、女性特有の乳がんや子宮頸がんとなっていますね。こうした理由もあって、20~50歳ごろまでは女性の方が「がん」が多いんですね。
若いから心配無用!というわけではないのが、「がん」という病気のようです。
がん(悪性腫瘍)には種類がある
がん(悪性腫瘍)を、保険の世界でよく使われる分類で、簡単にご説明しましょう。
がんは、その進行度合いによって「上皮内新生物」と、「悪性新生物」に分類されます。
「悪性新生物」
…上皮よりも深部に浸潤していく腫瘍
「上皮内新生物」
…上皮内に留まっているもの
「上皮内新生物」の場合は転移の可能性もほぼなく、手術で取り除けば治療が済んでしまうことも多いよう。
一方で、「悪性新生物」の場合は、上皮の下にある基底膜を突き破り、体内に侵入します。
がんは体内に侵入すると、血管やリンパ管にも侵入し、全身に飛んでいきます。
「悪性新生物」はそうして全身へ転移する可能性もあるため、手術だけでなく、様々な治療により直していく必要があるんですね。
では、「がん」になったら具体的にどんな治療が必要なのでしょうか?
次は、治療法について見ていきましょう。
「がん」の治療法
「がん」の治療法には、「3大治療」と呼ばれるものがあります。
「手術」
「薬物(抗がん剤)療法」
「放射線治療」
この3つをまとめて「標準療法」といいます。
標準療法は公的医療保険(以下、健康保険)が使えますが、健康保険が使えない治療法もあるんです。
宮本:
健康保険の使える治療法、使えない治療法にはどんなものがあるか、見ていきましょう
・健康保険が使える
…標準療法・手術、薬物(抗がん剤)療法、放射線療法・健康保険が使えない
…先進医療、自由診療
まずは、健康保険の使える標準療法について詳しく見ていきましょう。
標準療法
手術
がんや、転移した部分を切除する治療です。
すべて切除できれば完治の可能性も高い治療法ですが、体にメスを入れるのでキズの回復に時間を要したり、がんの場所によっては、切除した部位の臓器や身体機能を失う可能性もあります。
最近は、キズ口をなるべく小さくする内視鏡や腹腔鏡手術も普及しています。
薬物療法
抗がん剤やホルモン剤を投与して、がんを抑える治療法。「化学療法」とも呼ばれます。
経口・点滴・注射で薬を投与するので、血液を通して全身をめぐってくれるのが特徴。
小さながんの転移にも効果がある一方、副作用が強い場合も多いのが、デメリットといえるでしょう。
薬物療法は、手術前にできるだけ「がん」を小さくするために行ったり、手術後に残ってしまう小さな「がん」を増えないよう抑えるために行うこともあります。
放射線治療と併用して行うこともあるようです。
放射線療法
がん細胞に放射線を照射し、がんを死滅させる治療法。効果もありますが、副作用もある治療法です。
そして三大治療のほかに、「免疫療法」というものもあります。
宮本:
”オプジーボ”という名前を、ニュースなどで耳にしたことがあるのではないでしょうか?
保子:
日本で開発された「がん」の治療薬だと聞いたことがあります!
オプジーボは、免疫療法に使われる治療薬。
「効果が証明された免疫療法」はまだ一部で、治療法や薬ごとに使えるがんの種類が決まっていますが、中には健康保険で診療を受けることができるものもあるようです。
(参考)国立がん研究センターがん情報サービス
先進医療
国が定める、最新の薬や医療機器を使う高度な治療を「先進医療」と呼びます。
ただ、先進医療には健康保険が適用されません。
高い効果が期待される治療もありますが、保険によるサポートがなく、実費での治療となるのが、デメリットといえるでしょう。
自由診療
「自由診療」とは、日本では承認されていない治療法のこと。
例えば、海外ではすでに成果を出している薬品や、抗がん剤による治療などがあります。
宮本:
費用は高額で、数千万円かかることもあるよう!
実費で賄うには、かなりの経済的負担になりますね。
では次に、がんにかかったとき、具体的に必要な「お金」の話を見ていきましょう。
「がん」になるとどれくらいお金がかかる?
がんにかかるとまず必要なお金は、「治療費」ですよね。
治療費について、詳しく見ていきましょう。
がんの1日当たりの平均治療費は、こちら。
30-34歳男性の場合入院:1日あたり22,463円、入院期間13.7日
通院:17,599円/回※
30-34歳女性の場合入院:1日あたり24,134円、入院期間10.2日
通院:14,302円/回※
※厚生労働省「令和元年度 医療給付実態調査」をもとに算出
入院や通院が長引けば、より多額の治療費がかかってしまいそうですね。
でも日本には、健康保険があり、国民全員が加入しています。
抗がん剤や放射線治療、手術などの「標準治療」を受けた場合は、健康保険の対象。
6歳~70歳までの現役世代なら、医療費は3割負担で済みます。
また、医療費が高額になったときには「高額療養費制度」も利用できるので、毎月の上限を超えた医療費が還付されます。
「6~70歳未満・年収約370万円~約770万円」の人で、1ヶ月の医療費が100万円かかった場合を例に計算してみると・・・
「80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円」
87,430円が1ヶ月の医療費の「自己負担限度額」になります。
治療費として窓口で30万円(100万円の3割)支払ったとしても、高額療養費制度により212,570円(=300,000円-87,430円)が還付されるんですね!
ただし、入院中の食事代や交通費、差額ベッド代など、公的医療保険や高額療養費制度の対象に含まれない出費もあるので、そこは要注意です。
先進医療・自由診療は実費!
先進医療を使った治療を受ける場合、先進医療の技術料は公的医療保険の適用外です。
ただし、先進医療と並行して行う標準治療にかかる費用や入院費などは、公的医療保険が適応されます。
ちなみに、先進医療で代表的な「陽子線治療」「重粒子線治療」という放射線治療の治療費は、こんな感じです。
・陽子線治療:約271万円
・重粒子線治療:約312万円
(出典)厚生労働省「令和2年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」
実費で支払うには、とても高額な費用ですよね。
自由診療も健康保険の適用外。
宮本:
1つ、注意があります。先進医療と自由診療が異なる点として、自由診療を受けた場合、併用して受ける標準治療の医療費も全額実費になってしまうんです。
険太郎:
えっ、何それ、どうゆうこと!??
自由診療と標準治療は、一緒に受けることが原則認められていません。
自由診療を受けると標準治療まですべて公的医療保険適用外になってしまうので、注意しましょう。
ただし、年間の医療費が10万円を超えた場合(所得金額が200万円未満の場合は所得金額の5%を超えた場合)、確定申告を行うことで「医療費控除」を受けることができます。
確定申告で医療費控除を行うことにより、所得税や住民税を減らすことができるんですね。
医療費控除は標準治療の治療費だけでなく、先進医療や自由診療の治療費、通院にかかった交通費にも適用可能!上限200万円まで医療費控除できます。
宮本:
治療費が高額になった人は忘れずに確定申告をしましょう。
治療費以外にかかるお金は?
がんになった場合、かかるお金は治療費だけではありません。一例を見ていきましょう。
通院の交通費
病院が近くならいいですが、受けたい治療が近くの病院でできない場合もありますよね。
先進医療を受けたい場合や、専門病院が近くにない場合など、遠方の病院まで通わなくてはいけない場合も。
そんな場合、通院だけで交通費がかさんでしまいますし、お見舞いに来る家族の交通費もかかります。
治療中の生活費
例えばがんで入院・通院し、その間仕事を休むことになったとしましょう。
険太郎:
長期間休んでしまうと、給料も心配ですね…
長期間休んで、給料が入らない場合ですが…
宮本:
会社員で健康保険に加入している人は、「傷病手当」として欠勤4日目から標準日額報酬の3分の2が支給されます。
こうした補償はありますが、世帯収入は減りますし、治療による支出は増えます。
がんにかかった人のうち、「個人の収入が減った人」が56.8%、「世帯収入が減った人」は45.0%というデータも。
(出典)東京都福祉保健局「がん患者の就労等に関する実態調査」報告書 平成26年5月「がん罹患による収入への影響の有無(正社員規模別)」より
専業主婦(夫)が入院した場合でも、配偶者はお見舞いや付き添いのため仕事を休む機会も増え、やはり世帯収入減につながることも少なくないようです。
保子:
がんで必要になるお金には、療養中の生活費も考えておかないといけないんですね
宮本:
健康保険などの公的保険ではカバーできる部分もありますが、貯蓄などの各家庭の状況によっては十分といえないのかもしれませんね
そこで考えておきたいのが、がんによる経済的負担に備える「がん保険」!
「がん保険」は、公的医療保険でカバーできない部分を補うことができるのでしょうか?
「がん保険」がどういうものなのか、詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
【監修者・執筆】
宮本 亮太朗
ファイナンシャルプランニング技能士2級<主な職歴>
2011年:損害保険会社に入社。
2016年9月~グループ子会社で保険代理店の代表取締役社長に就任。2020年6月まで、大企業~中小企業などの企業向け保険に加え、個人向けの生命保険、火災保険などの損害保険の提案などに従事。「仕事柄、自分自身でも色んな保険に加入しました。現役子育て世代としての視線も交えつつ、経験談から失敗談までリアルな情報をお届けします」
まとめ
「がん」という病気について、わかりやすくご説明しました。
がんは三大疾病のひとつで、生涯のうち、男性は3人に2人、女性は2人に1人がかかるといわれるくらい身近な病気。
がんの分類すると、大きくは2種類です。
【がんの分類】
・悪性新生物
・・・上皮よりも深部に浸潤していく腫瘍
転移し、全身へ広がる。色々な治療法を組み合わせることが多い
・上皮内新生物
・・・上皮内に留まっているもの
転移の可能性は少ない。手術で取り除けることが多い
がんの治療法は、こちら。
【がんの治療法】
・公的医療保険が使えるもの
「標準療法」「一部の免疫療法」
・公的医療保険が使えないもの
「先進医療」「自由診療」
がんの1日当たりの平均治療費は
・「入院:21,410円」
・「入院以外(通院治療等):12,477円」
となっています。
でも公的医療保険が使えるので、若い世代なら3割負担で済みますし、高額療養費制度など、経済的負担を軽減する制度もあるので安心。
ただし、入院中の食事代や交通費、差額ベッド代、家族のお見舞いにかかる交通費や世帯収入の減少など・・・公的医療保険では対応しきれない部分もあります。
先進医療や自由診療は、公的医療保険が使えないので、なおさら経済的負担は大きくなるでしょう。
そんな突然の経済的負担に備える「がん保険」についても、こちらで詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてくださいね。
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