和彫りの名品 解説

あきくさむしづくしたんとうこしらえ

秋草虫尽短刀拵

  • 明治時代 
  • 後藤一乗、海野勝珉、篠山篤興、池田隆雄、柴田是真 合作
  • 清水三年坂美術館(京都)

 拵(こしらえ)は、日本で刀剣の外装をいい、〈つくり〉などともいう。起源は古墳時代にさかのぼるが、用語としては、江戸時代に入ってから使われたものであろう。柄(つか)、鞘(さや)、鐔(つば)の3部から成る。本来は身の危険を防ぎ、刀身を保護するためのものであるが、やがて身分の標識、着用者の嗜好、戦闘方法の変移などのさまざまな要素が加わって、その様式も変化し、単なる実用品ではない、金工、漆工などの高度の技術を駆使したものも現れる。
この拵(こしらえ)は、明治時代の刀装具のコレクターを代表する瀧獅堂光村利藻の注文により製作された。金具は全て金無垢で目録は、後藤一乗、小柄は海野勝珉、その他は篠山篤興の作である。刀身は池田隆雄より銀無垢で製作され、秋草が彫られている。小柄に明治34年(1901年)、刀身に明治38年の年記があり、それぞれに光村利藻の需めに応じるとある。鞘は無銘であるが是真と思われる。

出典
「幕末・明治の鐔・刀装金工」
企画監修:村田 理如(清水三年坂美術館) 発行:マリア書房

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秋草虫尽短刀拵