結婚準備の基礎知識

「結納」誰にでもすぐわかる基本

古き良き日本の伝統を感じられるのが「結納」のいいところ。「顔合わせ」と比べると準備が少し大変だけれど、そのぶん両家の絆も深まりきっといい思い出になるはずです。また、決まりごとも多いので事前にしっかり準備を行うことが成功への近道。

まずは親に相談するところからスタート。「結納」そのものに対する考え方をヒアリングします。父母で意見が異なる場合もあるので、意見をいったんすべて吸い上げ、両家の希望をふたりがまとめる形を取るとスムーズです。両家の意向が食い違ってもトラブルのないよう、いつも以上に密にふたりがコミュニケーションを取りましょう。

結納をする場合、用意する結納品や結納金、結納当日の服装までしっかりと確認をしましょう。初心者でも「結納」について簡単にすぐわかるポイントを3つに集約。以下から、今すぐチェックしてみて!

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1.「結納」する?しない? まずはそこから!

結納をする・・・「正式に婚約した」と実感!伝統文化の重みも感じられる日本独自の伝統儀式である結納を行うことで、婚約がより公のものに。結婚へのけじめもつきます。進め方や用意する結納品などは地域や家によって風習が異なることもあるため、両家ともに納得いくものになるよう相談を重ねて。

結納をしない・・・堅苦しさや費用面がネック。親が納得すればナシでもOKしきたりにとらわれたくないという人やなるべく費用を抑えたい人も多く、最近では顔合わせのみで済ませるケースが増えています。
結納は義務ではないので、親の賛同が得られるなら省略してもかまいません。ただし男性側から結納をしないと提案するのは失礼にあたるので注意。

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2.日取りや結納のタイプを決めよう

【日取り】結婚式から逆算して3ヶ月から半年前までの間に。大安など吉日を選ぶのが一般的ですが、両家が集まりやすい休日を優先するなど最近ではあまり気にしない人も増えているよう。
【結納タイプ】結納は仲人をたてる、たてないで形式が異なります。たてる場合でも正式結納と略式結納があり、どれを選ぶかは親とよく相談して。

  • 正式結納・・・仲人が両家を訪ねて、仲立ちする形式。まず男性側から結納品を預かって、女性側に届けます。女性側が託した結納品と受書は、仲人が再び男性側を訪れ引き渡すという手順。
    最も格式高い結納ですが、仲人の負担が大きく手間もかかるため、最近ではあまり行われなくなっています。
  • 略式結納(仲人あり)・・・ホテルや料亭などに両家と仲人が一堂に会し、仲人が当日の進行役を務める形式。女性側の家で行われることも。
    仲人が両家を行き来する正式結納と区別して略式と呼ばれてはいますが、内容は正式な結納とほぼ変わりません。
  • 略式結納(仲人なし)・・・仲人をたてない場合が多いため、最近の結納はほとんどこの形式で行われています。場所や当日の流れは仲人ありの略式結納と同じ。
    進行役は男性側の父親が務める場合が多いようです。

Q.実施した「結納」の種類は?

A.
「略式結納」(仲人なし)・・・76.2%
「正式結納」・・・18.1%
「略式結納」(仲人あり)・・・5.7%
7割以上が仲人なしの略式結納を選択。
仲人をたてる人自体が減っていることに加え、煩雑なしきたりはなるべく減らしたいと考えるカップルが多い傾向にあるよう。

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3.「結納」のスタイル、会場も重要ポイント

結納スタイル・・・結納品の内容、品目数、また男性側のみ用意するのか女性側も用意し交換するのか……。地域や家によってしきたりが異なる場合が多いので、何をどちらに合わせるのか事前に調整が必要です。

結納会場・・・略式結納の場合、ここでしなければならないという決まりは特にありません。料亭、レストラン、ホテル、女性側の家など両家の希望をふまえて選択して。両家の中間地点にある会場を選ぶケースも。

  • 料亭・レストラン・・・落ち着いた雰囲気、格式高い店がベスト。高級店、というわけでは必ずしもありませんが、ある程度の格式を持った店を選ぶのが賢明。結納品を交換するのに十分な広さがある個室がマストです。予約の際は結納で使う旨を必ず伝えましょう。
  • ホテル・・・室料、食事などがセットになった結納プランがたいてい用意されているのでスムーズに進められて便利。結納品を準備したり、流れについて指導してくれる場合もあります。準備や当日の進行に不安がある人におすすめ。
  • 女性の家・・・割安なうえアットホームな結納が可能。自宅を選ぶ場合、たいてい男性側が女性側を訪れます。時間を気にせず、和やかに進められることが多いよう。費用は比較的安く済みますが、もてなす側は大変なので両家の負担が偏らないよう調整が必要です。

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4. 結納品や当日の手配まで抜かりなく

  • 結納品・・・しきたりを確認しつつ親や店とよく相談。地域や形式によって品目・内容が異なり、関東式と関西式に大きく分かれます。両家で食い違いがないよう事前に相談しておくのがマスト。デパート、ホテル、結納の専門店などで相談しながら揃えると安心です。
  • 結納金・・・名字を名乗る側が支度金として用意する結納金。最近では50万や100万円で揃えることが多いよう。関東ではその半額を返す「半返し」があります。関西では結納返しをしない、または1割を返す場合も。両家で話し合い、はじめから金額を少なくして半返しを省略するケースもあるようです。
  • 書状・・・結納品の内容を記した目録と受書を用意。結納で必要な書類は2つ。結納品の品目と数を確認するための目録と、結納品を受け取った証拠に渡される受書です。
    結納品を購入すると、ほとんどの場合はどちらも店で用意してくれます。関東式と関西式などでは記入方法が異なるケースがあるので、事前に必ず確認を。目録と受書に加えて、家族構成を記した家族書を交換する地域もあります。
  • 料理・・・皆の好みを把握して店と事前に打ち合わせ。結納式の後は祝宴。和やかに食事できるよう、好みに配慮した食事内容をオーダーしておきましょう。飲み物についても、注文時にもたつかないようふたりがリードするか、事前に頼んでおくとスムーズ。
  • 婚約記念品・・・婚約の記念に贈られるものは指輪が最も多く、時計やアクセサリーの場合も。必ずしも必要ではありませんが、婚約記念品を用意するなら結納でお披露目するのがおすすめです。関西式では婚約記念品が結納の品目に含まれている場合があります。
  • 手土産・・・持参するかしないか、両家で意見を統一。片方は用意していたのに、もう一方は手ぶら……という気まずいことにならないよう注意。持参する場合、食べ物なら相手の好みや日持ちを考えたものを選んで。菓子折りや地元の特産品がおすすめです。
  • 費用・・・当日までに支払いの分担方法を決めておいて。男性側が結納品を持参する労をねぎらう意味で、食事代、場所代は女性側が支払うという考え方を持つ親もいますが、最近では両家で折半するカップルも。
    男性側が遠方から来る場合は女性側が接待費用を出すなど、両家で話し合い臨機応変に対応して。どちらにせよ当日までにきちんと決めておくのが成功のカギ。

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5.「結納」当日の服装は両家で格をそろえて

伝統的な結納にふさわしい、セミフォーマル以上のきちんとした服装を心がけて。両家の格にばらつきが出ないよう、前もって打ち合わせしておくのがおすすめです。

  • 女性・・・華やかな振袖や訪問着、洋装ならワンピースを。和装なら結婚後はもう着られなくなる振袖、または明るい色の訪問着で場を華やげて。品のいいワンピースでもかまいません。洋装の場合は肌を露出しすぎないよう注意して。
  • 男性・・・ブラックスーツが基本、ネクタイも礼装用を。ブラックスーツ、または略礼装ならグレーなどダークスーツでもOKです。ネクタイは白かシルバーグレーを合わせましょう。女性の和装に合わせて羽織袴やモーニングを選んでも。
  • 母親・・・和装なら留袖や訪問着、スーツでも問題なし。女性本人と格を合わせることを一番に考えて。女性本人が正礼装の振袖なら黒留袖でもよいですが、訪問着の場合は格を合わせて母親も色留袖、訪問着を。ワンピースやスーツを選んでもかまいません。
  • 父親・・・男性本人と格を合わせたスーツ選びが大事。ブラックスーツかダークスーツ、男性本人に合わせたタイプを着用。ワイシャツは白で、ネクタイは白かシルバーグレーを。靴や靴下は黒で揃えましょう。

古き良き日本の伝統を感じられるのが「結納」のいいところ。「顔合わせ」と比べると準備が少し大変だけれど、そのぶん両家の絆も深まりきっといい思い出になるはずです。

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6. 略式結納の基本的な段取り

① 結納品を飾る

到着したらまず、床の間やその前に結納品を飾ります。関西式では飾り付けは男性側のみで行い、女性側は席を外すのが一般的。
女性側の自宅で結納を行い、結納品を交換する場合は男性側の到着前に結納返しをあらかじめ飾りつけておきますが、店で行う場合は男性側が先でもOKです。
結納の際に両家で交換、または男性側から女性側に贈られるお祝いの品のこと。品目や数は地域や家によってさまざまです。
正式には9品目ですが、簡略化して5・7品目になる場合もあります。

家内喜多留(やなぎだる)
柳の木でできた樽。福がたくさん訪れるようにという意味がある。本来は酒樽を贈るが、酒肴料としてお金を包む場合が多い。
末広(すえひろ)
白扇子。扇子は末広がりの繁栄、白は純潔・無垢を象徴する。「寿恵広」と表記されることもある。
友白髪(ともしらが)
白い麻糸や麻紐。夫婦ともに白髪になるまで添い遂げられるようにという意味がこめられている。「友志良賀」と表記される場合も。
子生婦(こんぶ)
昆布。「喜ぶ(よろこぶ)」の意味が込められている。また生命力が強いことから子宝の象徴でもある。
寿留女(するめ)
スルメ。日持ちがするため長く縁が続き、噛むほどに味の出る夫婦を表している。「寿留米」という表記もある。
勝男節(かつおぶし)
鰹節。男性のたくましさを表した縁起物。「勝男武士」、「松魚節」と表記する場合もある。
金宝包(きんぽうづつみ)
結納金。関東では 「御帯料(おんおびりょう)」、 関西では「小袖料(こそでりょう)」 と呼ぶのが一般的。また女性側からの結納金に対するお返しは「御袴料」。
長熨斗(ながのし)
あわびを干して叩き薄く伸ばしたもの。長生きする貝ということから延命長寿の願いがこめられている。
目録(もくろく)
結納品の品目数を記したもの。関東式は目録も品数に数えるが、地域によっては加えない場合もある。

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◎「結納品」の飾り方は?

結納品はすべて白木の献上台に乗せたまま飾ります。本来は床の間の前に毛せんなどを敷き、その上に飾りますが、スペースが足りない場合は床の間でもOK。
男性側のみ結納品を用意する場合は床の間の中央に。結納品を交換する場合は上座に男性側、下座に女性側の結納返しを飾ります。
地域によって結納品の品目はさまざま!大きく分けると関東式と関西式があります。
関西式は結納飾りを1つずつ台にのせて飾るところが特徴的。他にも鯛やお茶、酒を持参する九州式、関西式に袱紗をつける岡山県、反物などをつける東海地方など地域によって異なる風習や決まり事があります。

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② はじまりのあいさつ

仲人をたてない略式結納は、男性側の父親が進行役を務めるケースが多いようです。
進行に不安がある、話すのが苦手という場合はメモを見ながらでOK。
家で予行練習しておくのもおすすめです。
進行を父親が務める場合、男性本人は静かに待機して。厳粛な気持ちで静かに臨みましょう。最近では、男性本人が口上を述べるケースもあるようです。

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③ 結納品を渡す

結納品を渡すのは、男性側の母親の役目。片木盆ごと、女性本人の前に運びます。女性側の父親が目録に目を通した後、受け取ったお礼の口上を述べて。
女性本人は父親が口上を述べた後に続き「ありがとうございます」と述べましょう。女性本人がまず目録を確認し、口上を述べるケースもあります。

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④ 結納返しを渡す

結納品を交換する関東式では、女性側の母親が結納返しを男性本人の前に運び、交換後は男性側の父親があいさつを。行程は「結納品を渡す」と同じ。

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⑤ 婚約指輪を渡す

婚約記念品を用意している場合は、儀式後に交換します。事前に贈られている場合はお披露目するだけでもOK。
婚約指輪がある場合は、指輪飾台を別で用意し結納品と一緒に床の間の前に並べておきます。台を用意しないなら、指輪ケースを男性本人の手元に置いてもかまいません。

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⑥ 記念撮影

厳かな儀式もこれで無事終了!
祝宴までに揃って記念写真を撮っておきましょう。結納品を前に、にこやかな笑顔で。会場のスタッフに事前に声掛けをしておくとスムーズです。
撮影は祝宴の前がおすすめ!お酒が入ると顔が赤くなってしまうこともあるので、先に済ませておきましょう。

  • 記念撮影した写真は披露宴の演出にも使える・・・きちんと正装した姿で撮影できる貴重な機会。披露宴での自己紹介パンフレットなどで使えるので便利です。ふたりの歩みのひとコマとして、プロフィールビデオやスライドショーに入れてみて。
  • 「ハイチーズ!」で場がなごむ・・・しきたりや厳粛な雰囲気にのまれて、結納はつい表情が固くなりがち。肩を寄せ合う撮影のひとコマで、場の雰囲気も和らぎます。儀式から祝宴へと気持ちを切り替えるきっかけにもなります。

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⑦ 食事&歓談

乾杯の音頭はぜひ男性側の父親にお任せしましょう。リラックスしたムードで、楽しみつつ両家の親睦を深めることが目的です。
祝宴は約2~3時間。支払いは宴の終わり頃ふたりのどちらかがそっと済ませ、後日清算を。
お酒を飲み過ぎたり、ハメを外しすぎることのないよう注意。
また結納品を持ち帰るための風呂敷も必ず持参して。