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新婚旅行の参考に!新婚旅行の参考になる映画10

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静かにすべてを包み込む「紺碧の海」
心癒され、涙する、珠玉の感動作

Le Grand Bleu「グラン・ブルー(1988)」

(C)1988 Gaumont

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結婚前にこそ観ておきたい
海を舞台に友情と愛を描いた名作

新婚旅行というとビーチリゾートをお考えの方も多いのでは?

どこまでも広がる青い海を見ながら、ゆったりと2人で過ごす時間は最高にロマンチックですよね。

今回ご紹介する「グラン・ブルー」は、そんな海の美しさを余すところなく伝える不朽の名作。

約30年前に公開された映画ですが、詩情豊かな映像美で多彩な海の表情を捉え、今もなお色褪せない魅力を放っています。

世界記録に挑む2人のフリーダイバーの友情と戦い、そして男を愛した1人の女の物語を描いた本作。

哀しくも愛しい「男の性(さが)」を浮き彫りにした物語は、結婚前にこそ観て欲しい1本です。

吸い込まれるような海の美しさに身を委ねながら、愛の本質を描いた「グラン・ブルー」の世界を、じっくりとお楽しみください。

海に魅せられた2人の男が、
友情とプライドを賭け、
命懸けの戦いに挑む

素潜りの世界記録保持者エンゾ(ジャン・レノ)は、幼少期をギリシャの小島で共に過ごしたジャック(ジャン=マルク・バール)を探していました。

子どもの頃からガキ大将で傲慢なエンゾが唯一フリーダイブの才能を認めていたのが、気弱で体の小さなジャックでした。

PHOTO:AFLO

水族館のイルカだけを友として静かに暮らしていたジャックと20年ぶりに再会したエンゾは、シチリア島で行われるフリーダイブの世界大会にジャックを招待。

現地で合流する2人のもとに、アンデス山脈で偶然ジャックと出会い、一目惚れしたアメリカ人女性ジョアンナ(ロザンナ・アークエット)も駆け付けます。

PHOTO:AFLO

ここから、エンゾとジャックのプライドを賭けた長き戦いと、ジャックとジョアンナの悲しい恋の物語が始まります・・・。

美しき男の友情と、
哀しくも愛おしい男の性(さが)

PHOTO:AFLO

いかがわしいチンピラ風ながらも陽気で憎めないエンゾと、海に洗われたような透明な瞳で穏やかに微笑むジャック。

たくさんの家族に囲まれたエンゾと、幼い頃に両親が離婚し、さらに最愛の父親が海で溺死したジャックは何もかもが対照的です。

でも、そんな太陽と月のような2人だからこそ、自分に無いものに惹かれ合うのでしょう。

誰より深く互いの才能を認め合うライバルである一方で、プライベートでは不器用なジャックにエンゾが恋愛の指南をしたりして、親友としての絆も深めていきます。

ライバルであり、親友。嫉妬心や悔しさもあるけれど、互いを讃える純粋さも持ち合わせている関係は、まさに「男の友情」で女から見れば憧れさえ感じてしまう美しさです。

でも、その「負けたくない意地」や「名誉への執着」が行き過ぎ、時に命や愛よりも重くなってしまうのは、女性ではもはや理解不能。

鑑賞中も「何故、そこまで?」「そっちが大事!?」と何度思ったことかわかりません。

でも、究極のところで、どんな犠牲を払ってでも「己の思いを遂げるのが男」なのでしょう。

PHOTO:AFL

シンプルに言うと「わがまま」なのですが、自身でも苦悶しつつ、でもどうしても抗えない自分の気持ちに向き合う男たちの姿は、どこか哀しく、愛おしさまで込みあげてきます。

女性には理解しがたい「男の性(さが)」ですが、理解できないからこそ、女は男に惹かれるのかもしれませんね。

結婚後は、生活を共にして初めて知る彼のこだわりや癖なども1つや2つ出てくると思います。

理解できずに腹立たしくなることもあるかもしれませんが、この映画を観た後では「男って、こんなものよね」って力を抜いて諦められそう。

今後のハッピーな結婚生活のためにも、この映画で女の器を磨いてくださいね。

愛の本質を教えてくれる
ジャックとジョアンナの恋物語

男の友情物語として知られる「グラン・ブルー」ですが、女目線で観るとジャックとジョアンナの恋も大いに気になるところ。

少年のまま大人になった奥手のジャックは、最初はなかなか恋を進められないのですが、エンゾに勝った夜にエレベーターの中で突然のキス!

月夜に照らされた、うっとりするほどロマンチックなシーンで2人は結ばれていきます。

PHOTO:AFLO

その後、別れと再会を経て、同棲を始める2人は幸福の絶頂を迎えたかのようなのですが、心に深い喪失感を抱えるジャックとの溝が次第に浮き彫りになっていきます。

「海の底にいるのは辛い。上がっていく理由がないから。」と、ジョアンナにこぼすジャック。

PHOTO:AFLO

イルカを家族と慕い、いつも心の一部を海に残しているようなジャックとジョアンナの恋は、映画史上に残る有名なラストシーンで幕を閉じます。

このラストシーンにはさまざまな解釈があるかと思いますが、ジョアンナが最後にとる行動には、「本当に人を愛することとは」という愛の本質が描かれていると私は思いました。

自分が心から望んでいるものと彼が望むものが決定的に違った場合、ジョアンナのような行動がとれるのかどうか。

もし今、結婚に不安を感じているなら、ジョアンナの姿と自身を重ね合わせてみてはいかがでしょうか。

彼に対する愛の深さを確認できるかもしれませんよ。

刻一刻と表情を変え、
色彩を変える

母なる海の美しさに癒される

PHOTO:AFLO

男同士の友情と戦い、恋の喜びと悲しみのすべてを優しく包み込むのが地中海の穏やかな海です。

167分の上映時間の中で半分以上が海のシーンである本作では、実に様々な海の表情が楽しめます。

キラキラと陽光を反射する海の色は、緑がかった浅瀬から幾重にも青を溶かしたような紺碧の沖まで美しいグラデーションを描いており、息を呑む美しさ!

さらに、宝石のように泡がきらめく水中や月夜にジャックとイルカが戯れるシーンが幻想的に描かれ、ヒーリングミュージックのようなBGMともマッチして、心が溶けるような癒しの感覚が味わえます。

こんなにまで美しい海を眺めていると、不純物がすべて洗われ、澄み切った広い心になれるよう。

ジョアンナもこの海を毎日見ていたからこそ、ジャックに対しあんなに深い愛が抱けたのではと思えてきます。

結婚準備中に彼とケンカしてしまったというカップルも、きっとこの海を見ればイヤな思い出なんてみんな洗い流されてしまうはず!

 
ピュアな心で新たな絆を深められる新婚旅行になるかもしれませんよ。

ロケ撮影されたシチリア島のタオルミーナは、歴史ある街並みも素敵ですので、ジャックとジョアンナを真似た散策デートも楽しんでくださいね。

実在するホテル「アタホテル カポタオルミナ」で、エンゾお薦めの「海の幸のパスタ」を食べるのも忘れずに!

(木村みずほ)

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