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結婚準備の参考に!ベストウェディング映画30

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陰謀と裏切りと犯罪の香りに包まれた
“男が大好きな映画”の結婚式

The Godfather「ゴッドファーザー(1972)」

PHOTO:AFLO

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ニューヨークの豪邸で開かれる
歌って踊るガーデンパーティー

マフィア、裏組織…そんな危険な香りを放ち、アメリカではすっかり“男が大好きな映画”として定着している「ゴッドファーザー」。 

マフィア映画の傑作として名高い本作は、シチリア島からアメリカに移住した一家が裏社会を牛耳る巨大ファミリーに成長していく様を、父から子への世代交代とともに描いた大作だ。

特に女性には、ちょっと近寄りがたいかもしれないが、実はこれ、ウェディング映画としても観られる1本。

しかも、数あるウェディング映画の中でも、飛びぬけて結婚式シーンが長い!

PHOTO:AFLO

本編始まって早々に流れる結婚式シーン。舞台はニューヨークだが、結婚式のスタイルは一家のルーツであるシチリア風だ。

豪勢なお屋敷の広い庭がパーティー会場になり、ビッグバンドが演奏する中、飲めや歌えやの大騒ぎ。

ドン(家長でありマフィアのボス)のヴィトー・コルレオーネは娘とワルツを踊り、母親はイタリアの民謡を歌うなど、その様子はまるでお祭りのようだ。

結婚式シーン、もしくは日本の披露宴(パーティー)と言えば、司会進行役がいるのがポピュラーだが、本作でそれは登場しない。

来場者が楽しそうにしている自由な雰囲気を観ていると、通常通りの挙式スタイルにこだわらなくても…と、思えるかも?

PHOTO:AFLO

訳アリの客が次々とやってくる
マフィア流ウェディングの裏舞台

会場では、ひっきりなしに祝い客がやってきて、ご祝儀を直接花嫁に手渡している。

若い運転手が「他の結婚式じゃ考えられん」とため息まじりに言うが、強大な影響力を持つマフィアの花嫁だけに、集まってくる現金も庶民のレベルとはケタ違い。

そんな華やかな宴と同時進行で、恐ろしい取引が行われるのがマフィア流。

結婚式のお祝いを述べる、という建前でヴィトーの部屋にやってくる大勢の客人たち。そして、危険な取り引きや相談事を持ちかける。

PHOTO:AFLO

とある客は、「ご結婚おめでとうございます」とお決まりの挨拶もそこそこに「娘に乱暴を働いた連中を殺してください」と、依頼。

そして、「(警察には行かず)なぜ最初からわしの所へ来なかったのだ?」と、サラリと怖いことを言ってのけるヴィトー。

娘の結婚を喜ぶ表の顔とはまったく別の、“ゴッドファーザー”の真の姿が垣間見える。

「家族を大切にしない奴は男じゃない」と断言するほど家族を大切にするプライベートの顔と、暴力と違法行為を生業にする裏稼業の顔。

このふたつが複雑に入り組んで迷路のように抜け出せないのがマフィアの世界。

映画の最初から27分もかけて結婚式を描くのは、マフィアの光と影とが凝縮されているからだ。

そのギャップがなんともユニークで面白い!

PHOTO:AFLO

パーティーには、ヴィトーを慕ってやってくる親戚や地元の名士たち、利害関係が一致してやってくるだけの者もいれば、世間の目を気にして祝電だけを送ってくる政財界の大物もいる。

一方、家の門の外では、FBIの捜査官が訪問客の自動車のナンバープレートをチェック中。ここぞとばかりに、誰がマフィアと癒着しているのかを調べようとしているのだ。

PHOTO:AFLO

結婚相手の家族がもたらすものは
喜び?それともトラブルのタネ?

さすがに大物マフィアの結婚式は違うなと、興味本位で観るものいいが、現実の結婚だって必ずしも当人2人だけのものじゃない。

結婚とは相手の家族、親族とのつながりができることでもあり、義理を重んずるマフィアの世界は、案外、日本の社会とも似ているのかも知れない。

PHOTO:AFLO

そして、長い結婚式が幕を閉じると、そこから先はマフィア同士の抗争が勃発し、男たちの戦いが始まる。

麻薬取引をめぐって組織と組織が対立するだけなく、コルレオーネ一家の中でもヴィトーと跡取り息子のソニーの間で意見が割れてしまう。

やがて白昼堂々、ヴィトーが襲撃される事件が起き、ここから先は血で血を洗う泥沼状態に突入。

ヴィトーはからくも一命を取りとめるのだが、一家の中でたったひとり堅気の道を歩むはずだった三男のマイケルが、報復のための暗殺者の役を買って出るのだ。

PHOTO:AFLO

自分の家のビジネスとはいえ、一度足を踏み入れたら決して抜けられない世界。

重厚な映像と、いきなり始まる銃撃などのバイオレンス描写。冒頭の結婚式のお祝いムードとは真逆へ真逆へと突き進んでいく皮肉さがスリルとドラマを生み出していく。
 

PHOTO:AFLO

重厚な人間ドラマに花を添える
エキゾチックな海外ウエディング

「ゴッドファーザー」には実はもうひとつ結婚式がある。

暗殺を成功させた三男のマイケルが、父ヴィトーの故郷であるシチリア島に身を隠す。そこで、地元の美しい女性アポロニアと出会い、結婚を申し込む。

マイケルはアポロニアと一言も言葉を交わさないまま、アポロニアの父親に結婚前提で交際を申し出るのだ。

恋人をアメリカに残しているにも関わらず、(同じ男として)潜伏先で結婚してしまうのは如何なものかとは正直思う。

いや、本当にちゃんとそう思っているが、マイケルという人物の矛盾、謎めいた部分を表現するのに、結婚式が強い印象を残しているのも事実。

PHOTO:AFLO

そんなマイケルとアポロニアの結婚式が撮影されたのはシチリア島のサヴォカという小さな村。

小高い丘の上にある美しい土地で、古い教会や石造りの建物が並ぶなか、ブラスバンドを引き連れて行進。

マイケルとアポロニアの結婚は、マフィアの家に生まれた運命のせいで悲劇に終わるのだが、結婚式のエキゾチックな雰囲気は美しい。

思わず「こんな結婚式を挙げてみたい」と思う人もいるのではないだろうか。

PHOTO:AFLO

ロケが行われたサヴォカは映画の公開から40年以上経った今でも当時の雰囲気を残しているので、海外ウェディングの候補地にするなり、新婚旅行で訪れるなりしてみるのも一興だろう。

映画史に残るマフィア映画のイメージが強いが、意外や意外“ウェディング映画”としても十分堪能できる「ゴッドファーザー」。

設定自体は極端だが、結婚式や家族について別な角度から考えてみたい人には、良い刺激になるかも!?

(村山章)

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