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彼は世界でたった一人…
結婚に必要な女の“覚悟”とは?
The Time Traveler's Wife「きみがぼくを見つけた日 (2009)」
PHOTO:AFLO
理解してあげられるのは私だけ!?
“変わり者”との恋愛に必要なこと
大好きだけど、私の彼、少し変わり者かも?
元を辿れば赤の他人。趣味や嗜好があんまりにも違うと、結婚生活に不安を感じてしまう人も多いだろう。
そんな人にはこの映画が助けになってくれそう!原題が「The Time Traveler's Wife」という、一見、男性主人公の目線で描かれたSFのようなスタートなのだが、よく観ると違う。
The Time Traveler’s Wife (C) 2008 Internationale Scarena Filmproduktionsgesellschaft 2 mbH & Co. KG. Package Design & Supplementary Material Compilation (C) 2010 New Line Productions, Inc. Distributed by Warner Home Video, Inc. All rights reserved.
原題を見るとわかる通り、偶発的に時間旅行をしてしまう特異体質の男性に恋をしてしまった女性(妻)の目線で描かれたラブロマンスなのだ。
“タイムトラベラー体質”というとピンとこないかもしれないが、恋愛相手が特殊なマイノリティとして本作を捉えてみてほしい。
いわば時代劇や文芸作品によくある格差恋愛や禁断の恋を進化させた設定…といえばわかりやすいだろうか。
邦題はロマンス色を濃くした「きみがぼくを見つけた日」。一般的な結婚映画とは毛色が違うけど、恋する人、将来結婚を考えているカップルにはピッタリな作品だ。
長年の恋が実った瞬間、
そこから本当の愛が始まる!
The Time Traveler’s Wife (C) 2008 Internationale Scarena Filmproduktionsgesellschaft 2 mbH & Co. KG. Package Design & Supplementary Material Compilation (C) 2010 New Line Productions, Inc. Distributed by Warner Home Video, Inc. All rights reserved.
主人公のクレアは裕福な家庭に生まれ育ったアーティスト。ある日彼女は図書館で、幼少時から憧れている男性と再会する。
彼の名はヘンリー。時空を旅する“タイムトラベラー”の運命を背負ったハンサムな男性だ。
ヘンリーとの再会を心底喜ぶクレアだが、“初対面”のヘンリーは戸惑いを隠せない。
実は2人にとって最初の出会いは、(ヘンリーが過去にタイムトラベルしていた)クレアが6歳の時。
けれど、図書館で再会した時のヘンリーは、10数年前にタイムトラベルする以前の彼。つまり6歳のクレアには、まだ“出会っていない”のだ。
自らの意に反して、過去・現在・未来を瞬間移動してしまうヘンリーは、自分以外の誰かと同じ過去を共有することができない哀しい宿命……。
The Time Traveler’s Wife (C) 2008 Internationale Scarena Filmproduktionsgesellschaft 2 mbH & Co. KG. Package Design & Supplementary Material Compilation (C) 2010 New Line Productions, Inc. Distributed by Warner Home Video, Inc. All rights reserved.
クレアは彼の力になろうと、未来のヘンリーから聞いていたタイムトラベルの注意点や、ヘンリーとの出会いなどを説明し始める。
愛おしそうな表情でヘンリーを見つめるクレア。出会えた喜びと、長年の想いで感情を抑えることができないのだ。
同時にクレアを特別な存在だと気付いたヘンリーも一瞬で恋に落ちる。そしてこの日、2人は初めて結ばれる…。
青空の下で行われる結婚式
その裏ではハプニング発生!
ヘンリーに愛されることで、彼への想いをますます膨らませていくクレア。友人に付き合いを反対されても「この気持ちはもう巻き戻せない」と、彼女の気持ちは揺るがない。
PHOTO:AFLO
同じ頃、ヘンリーはクレアにプロポーズするのだが、その言葉がとっても素敵!
「失ったら耐えられない存在は作るまいと思っていた。でも、もう遅い。決め手は美しさや知性じゃなく、君のくれる安心感だ」
このプロポーズの言葉に、彼がどれほど孤独だったか、彼にとってクレアが唯一無二の存在なのかが、ひしひしと伝わってくる。
そして「何千回でもイエスと言うわ」と答えるクレアの揺るぎない愛。
あなたでなければダメなんだ――結婚への互いの必然性が伝わる名プロポーズ!ぜひ参考にしてほしい。
PHOTO:AFLO
そして迎えた結婚式。2人が選んだのは、ガーデンウェディング。燦々と降り注ぐ太陽や青々とした緑が美しく、庭園を囲む古城のような建物も趣があって実にいいムード。
クレアは純白のドレスに、ヘンリーもタキシードに着替え中。ところが、その時、ヘンリーがタイムトラベルしてしまう……!
不安な表情を浮かべながら、庭先で新郎を待つクレア。そこに現れたのは白髪交じりのヘンリー。
このヘンリーは、先ほどタキシードに着替えていた時の彼ではなく、未来からやってきたヘンリーなのだ。
彼と腕を組み、微笑みながらも幸せそうに「替え玉ね(笑)」とつぶやくクレア。
普通だったら「ちょっと、心配したじゃない!」と慌てふためくところだが、クレアはちょっとやそっとじゃ動じない。
人生一度の晴れ舞台、相手にどんなハプニングが起こっても、彼女のように全てを受け止められる心の余裕が必要なのかも?
屋外で開かれるリッチな披露宴!
花婿はチェンジしても“同じ人”
クレアがお金持ちとあってか、披露宴はとても豪華。屋外で行われているとあって、ライトの照明も幻想的でキレイ。
PHOTO:AFLO
ステージには楽隊が並び、中央にはダンスフロアが設置されている。クレアの父の言葉に促され、2人は生演奏をバックにダンスを披露することに。
そこで、ヘンリーの顔を一瞬見たクレアは、サラリとこうひと言――「あら、新顔ね」。
そう、今ここで踊っている彼は、さっき着替えていた途中でいなくなったヘンリーなのだ。披露宴の最中で再び、タイムトラベルを起こしていたのである。
「(式に出ていた)彼のほうが良い?」と心配するヘンリー。それを受けてクレアは「同じあなたよ」と、即答。
彼女は、どんな風貌であろうと、ヘンリーが側にいてくれることが嬉しくて仕方がない。
時代、年齢が違っても、ヘンリーという人間は変わらない。クレアの愛情はどこまでも深い。どんな境遇でも相手を愛し続けるという彼女の“覚悟”は、女性なら誰しも見習いたいと思わせられるだろう。
The Time Traveler’s Wife (C) 2008 Internationale Scarena Filmproduktionsgesellschaft 2 mbH & Co. KG. Package Design & Supplementary Material Compilation (C) 2010 New Line Productions, Inc. Distributed by Warner Home Video, Inc. All rights reserved.
そして、結婚初夜、正装のままベッドの上ではしゃぐクレアとヘンリー。しかし、またしてもこの瞬間にヘンリーは消えてしまう…。
ベッドの上に転がっているのは、ヘンリーの薬指から抜け落ちた指輪。それを自分の薬指にはめ、クレアは次いつ戻ってくるかわからないヘンリーを待ち続ける。
何があっても愛し抜く!
2人が育んできた“幸せ”とは
ストーリーは“結婚後”のその後へと続く。愛し合う2人は当然ながら、子供を授かるが、クレアは何度も流産を繰り返してしまう。
そう、お腹の子供もタイムトラベルの特殊能力を持っているのだ。
The Time Traveler’s Wife (C) 2008 Internationale Scarena Filmproduktionsgesellschaft 2 mbH & Co. KG. Package Design & Supplementary Material Compilation (C) 2010 New Line Productions, Inc. Distributed by Warner Home Video, Inc. All rights reserved.
そうして次々に2人に訪れる試練。それでもクレアはケンカしながらも、夫の特異な体質を生活の一部に取り込んで、賢く生きようと努力する。
やがて、ヘンリーの身体に“最期”を知らせるかのような異変が発生。クレアはヘンリーがいつ消えてもおかしくない状況に苦しみながらも、変わらぬ愛を誓う。
「何も変えずにいるわ。たとえ束の間でも会いに来てくれるのを待ってる」
果たして、2人に待ち受ける悲しくも美しい結末とは…?
大好きな相手と結婚し、愛し続けることは大変なことかもしれない。でも、どんな相手でもその人は、世界にたった1人しかいないのだ。
ちょっと変わった趣味・嗜好があっても、それも認めてあげれば楽しさに変わり、必ずや二人だけの“幸せ”が見つかるはず。
トンデモな設定なのに、恋愛や結婚、そして家族を持つことの素晴らしさに気付かせてくれる1本だ。