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4度も同じ相手と結婚!?
別れても惹かれ続ける理由とは?
The Marrying Man「あなたに恋のリフレイン(1991)」
PHOTO:AFLO
これだけは欠かせない!
夫婦にとって“大事なもの”
結婚は人生で一度きり――できればそうありたいと、誰もが思っているはず。
でも、なかなかプラン通りにいかないのが人生というもの。「この人こそ運命の相手!」と恋を始めても、思いがけず、別れと出会いを繰り返してしまう。
そんな中で、ごくまれに耳にするのが、一度離婚した男女がまた結婚するパターン。でも、わざわざ夫婦の縁を切った相手と、もう一度結婚しようとなぜ思うんだろう?
そんな悶々とした気持ちを解消してくれるのが、同じ相手と4度(!)も結婚する男女を描いたロマンチック・コメディ「あなたに恋のリフレイン」だ。
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別れても、また惹かれ合ってしまう男女の気持ちを知ることで、結婚生活には欠かせない“大事なもの”が見えてくる。
さらに本作は実話を基に製作されており、離婚の原因のバリエーションがどれもリアル!
戒めにしたいと痛感させられるシーンも多いので、心の準備として(!?)、結婚前にぜひ観ておきたい1作なのだ。
男が結婚相手に望むのは
色気? それとも人間性?
騒動の始まりは1948年。
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アメリカ最大の練り歯磨きメーカーの御曹司チャーリーは、ハンサムなプレイボーイ。
そんな彼が、ハリウッドの大物プロデューサーを父に持つアデルとの結婚を決めた。遊びまくってきた過去を清算し、父親を安心させたいと思っての決断だ。
彼の結婚に一番ショックを受けたのは、仲間たち。コメディアンの卵や駆け出しの歌手、マイナーリーグの最下位監督ら、しがない男たちにとって、チャーリーは“神”。将来有望な友人の結婚にどこか寂しそう。
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しかも、彼のこれまで付き合ってきたセクシーガールとは違い、清純そうなアデルが相手だからか、チャーリーのテンションは低め。
それもそのはず、今回の結婚の決め手は、“お互いが金持ち”だから。
「アデルに女を感じてるか?夢中とか恋とかじゃなく、“熱くなってる”かだ」
自分の将来を心配した友人たちの質問に対して、チャーリーはこう答える。
「色気と信頼の両方を兼ね備えた女がいるもんか」
そんな返事には、どこか妥協や割り切りのようなものが見え隠れする。
やはり色気には勝てない!?
勢いで結ばれた2人の行方は?
ところが、チャーリーの人生を狂わせる運命の出会いが!
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独身最後の大騒ぎをしようと仲間たちに連れて行かれたラスベガスで、クラブのステージに立つセクシーな歌姫ヴィッキーに心奪われてしまうのだ。
彼はすぐに接触を図るが、あいにくヴィッキーは有名なギャングの愛人。
それでも身の危険を承知で、彼女をバーで待ち伏せ、口説き落そうとするチャーリー。
そして彼女の家に潜り込むまでは順調だったのだが、早々にギャングにバレてしまい、2人は罰として、その夜のうちに結婚させられてしまう。
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そうなると一気に愛がしらけ、翌朝は互いをののしり合う大喧嘩へと発展…!
「確かにゆうべは最高だった。でも結婚したくはない。これが最初で最後の朝だ」
「ゆうべは素敵だったわ。でも結婚後は最悪ね」
こうして1度目の結婚は早々と終焉を迎える。
夫婦間の温度差や認識のズレが
結婚生活の破綻の引き金に!?
当然のことながら、浅はかな行動のせいで周囲の怒りを買いまくったチャーリー。面子を潰したアデルの父に対して、誠心誠意を尽くし、改めて結婚の許しを乞う。
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ヴィッキーとの結婚も晴れて無効になり、アデルとの挙式を数日前に控えたある日。
ロスのクラブのステージに立つヴィッキーを発見し、またしても色気たっぷりに歌声を披露する彼女に心を奪われてしまう。
「なんて懲りないヤツなんだ!」と怒りたくなるのはごもっとも! だが、楽屋で再会した2人は、はじめは気のないフリをしていたが、我慢できず互いを求め合い、結局ベッドを共にする。
「思い出に酔っただけよ」
「そうじゃない。今までのふざけた人生の中で、こんな幸福はなかった」
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そして2人は豪邸のプールサイドで、多くの友人と白い花に囲まれ、1回目よりも素敵な結婚式を挙げる。
結婚させられるのではなく、自らが選んだ結婚という選択。果たしてそれは吉とでるか…?
その後、ヴィッキーはミュージカル映画出演のチャンスをつかみかけるが、大物プロデューサーの娘を振った男の女房に、業界は厳しい。
同じ頃、チャーリーの父が他界し、新社長に就任した彼は、2年間は地元のボストンに留まり、会社の立て直しを図らなければならない。
「暮らしてみれば気に入るさ。上流社会の仲間入りもできるし」
「自分の道を進みたいの」
そうして出来上がるのは、「仕事に没頭する夫」と「退屈な昼と孤独な夜を繰り返すだけの妻」の図。
すれ違う2人の結婚が長く続くはずはなく、2度目の結婚も、終わりを迎える。
オンナ目線で見れば、許し難い内容だが、チャーリーの本音はこうだ。
「愛してたのに、ある日突然、欲望が消えたんだ。なぜなんだ!?」
さらに腹立つことに、チャーリーの問いに対して仲間はこう答えるのだ。
「男ってのはバカな生きものだよ。ないものねだりで、手に入ると飽きる」
別れた女を心配する男
VS ほっといてほしい女
チャーリーと友人らの男5人組はラスベガス郊外のクラブで、ヴィッキーを偶然発見。
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前にも増して魅力的な歌声を聴かせる彼女を絶賛しつつ、焼け木杭に火がつかないように、「悪くないけど普通だ」などとチャーリーへ気を揉む仲間たちの言動が面白い。
そんな友人たちの隙をみて、チャーリーはまたもやヴィッキーに接近。しかし今度は、ギャングの愛人かつクラブ歌手に戻った彼女に批判めいたことを言ってしまう。
「君は変わった。下品な女だな」
「自分に恥じるところはないわ」
2人が激しい喧嘩を繰り広げる中、ヴィッキーの愛人が乱入。身の危険を感じたチャーリーは、ヴィッキーを引き連れて逃走する。
うまく逃げ切ったその夜、チャーリーが彼女に告白。
「君なしではダメだ。戻ってくれ」
「分かったわ。今度こそうまくいくわね」
正直、観ている誰もが「ウソでしょ?」と思っちゃうほどの展開。これほど勝手な男をなぜヴィッキーは許せるのか?
どこまでも懲りない再々婚カップル。翌日には簡単な式を挙げてしまうのだ。今度こそうまくいくといいのだが…。
結婚の決め手は経済力ではなく
“合うか、合わないか”
チャーリーは全財産を注ぎ込んで、郊外に映画スタジオを建設。夫妻は4人の子宝にも恵まれる。
しかし、スタジオは倒産し、ヴィッキーは家族を養うために歌手活動を再開。職にありつけないチャーリーと口論した挙げ句、2人はまたまた別れる。
1956年のサンフランシスコ。それぞれ成功した4人の仲間たちが、ヴィッキーの歌うクラブで呑んでいると、姿をくらましていたはずのチャーリーがふらりと店に現われる。
そして驚くことに、彼はヴィッキーに4度目のプロポーズをしようとしていた。
「教えてくれ。なぜ同じ女と4回も結婚したいんだ?」
にっこり笑った後、チャーリーが放つセリフがニクい!
「合うんだ」
なんてシンプル!でもこれほど結婚の真理を表しているひと言はない気もする。
よく巷で結婚の決め手について、“ビビッと感じた”と耳にすることはあるが、確かにこの直感というかフィーリングは、パートナーを選ぶうえで、一番大事なポイントなのかもしれない。
4度も結婚を繰り返した本作は極めて異例なケースと言えるだろう。
けれど紆余曲折があったものの、振り返ってみると、この物語はチャーリーの成長ドラマで、ヴィッキーは最初から変わらない。
「どうしてこの人を選んだんだっけ…?」とマリッジブルーになってしまっている方がいたらご心配なく!
相手が好きな理由なんかなくても、“なんとなく好き”という気持ちさえあれば大丈夫。もし別れてしまっても、何度でもチャンスはあるのだから!