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結婚準備の参考に!ベストウェディング映画30

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文化や風習の壁をも乗り越える
絶対的な“愛”ゆえの決断

My Big Fat Greek Wedding「マイ・ビッグ・ファット・ ウェディング(2002)」

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結婚はふたりのもの?
それとも家族のもの?

結婚映画――そう思い巡らせた時、真っ先にこの「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」の披露宴のシーンが頭に浮かんだ。

ただしWedding Movieとしてではなく、どこか所帯じみた“結婚映画”として。セレクトする上で、この微妙なニュアンスがちょっと大事かもしれない。

というのも、ヒロインは絶世の美女…とは言い難いルックスで、ラブコメ作品としては致命的なほどに“画”が地味。

当人同士のロマンティックな恋愛より何より、家同士の生活感あふれる結び付きが重点的に描かれていくわけだが、それが逆に結婚のリアリティを高めていてGood!

結婚は恋愛のゴールではなく、新たな人生の始まり――それが、本作の所帯じみた家族同士のエピソードを通してしみじみ実感できるのだ。

つまり結婚式とは“エピローグ”ではなく、“プロローグ”。 この「マイ・ビッグ・ファット・ウェディング」の披露宴シーンからは、不思議と結婚した両家の10年、20年先の情景が目に浮かんでくる……。

ギリシャ人とアメリカ人、
結婚の考え方はこうまで違う?

原題は「MY BIG FAT GREEK WEDDING」。邦題からなぜか消えてなくなった“Greek(=ギリシャの)”こそ、この映画最大の特徴だ。

ヒロインの名は、トゥーラ。シカゴ郊外に住むギリシャ系アメリカ人で、家族経営のレストランで働く引っ込み思案な女性だ。

「ギリシャ人男性と結婚して、その子供を産み、死ぬまで家族の面倒を見る」ことがギリシャ娘の義務と言われている中で、30歳独身のトゥーラは肩身の狭い日々を送っている。

そんな中、アメリカ人教師イアン・ミラーと恋に落ちた彼女は、人種や文化の壁を乗り越え、彼との結婚に向かって突き進んでいく……。

“恋愛”メインではないからか、主人公カップルの出会いからプロポーズまでは超スピーディ。トントン拍子に心も体も深く結ばれていく彼らは、将来を誓い合うようになる。

そしてごくごく自然な流れで、ベッドで微睡むトゥーラに向かってイアンが囁くのだ。「結婚しない?」と。

ラブストーリーとしては、この最初のプロポーズが最高潮の盛り上がりのようにも思えるが、“家族愛”がテーマなだけに、本番はまさにここから。

恋愛、プロポーズと幸せの絶頂!
でも結婚を前に直面する現実とは?

結婚する当人同士だけではなく、いよいよ家同士の関わり合いが主軸となっていくわけだが、ここで立ちはだかるのは、“ギリシャ文化”の壁!

 国際結婚に障害はつきものだが、ギリシャ一家の(固定観念に凝り固まった)結婚はどうやら、我々の想像のはるか上をいくようだ。

しかもトゥーラの父ガスは、ギリシャ人の血縁こそ「何ものにも代えがたい唯一の誇り!」と言って譲らない人物。

「トゥーラは、なぜ俺にこんな仕打ちができるんだ? 俺の娘がクセノ(よそ者)の嫁に行くだと?

トゥーラはギリシャ正教の教会で式を挙げるものと思っていたのに、親不孝にも程がある!」

――これは娘の決意を知ったガスが、妻に対して思わず吐き出した本音だ。

「自分の幸せ(=結婚)が、家族を不幸にしてしまう」事実をまざまざと突き付けられ、激しく動揺するトゥーラ……。

そんな彼女を諭すように告げるイアンの言葉が素晴らしい。まさに第2のプロポーズともいうべき、そのセリフの一節を紹介したい。

「君は家族の一部だ。僕はなんだってするよ? 君の家族に認めてもらうためならね。君はもう僕の人生の全てなんだ。

コソ泥みたいに逃げ回るような真似はしたくない。正々堂々、結婚しよう。いいね?」

披露宴までの困難な道のり…
理想の花婿へのステップとは?

その覚悟を実践するかのように、イアンはまずトゥーラの実家へ。

交際発覚時には「30歳を過ぎたいい大人が、なぜ交際に親の承諾を得なければならないんだ」と、ポルトカロス家のしきたりに異を唱えていた彼だが、正々堂々と結婚宣言!

しかもギリシャ正教会で洗礼を受ける決断までしてしまうのだ。

 そうして改宗に踏み切り、晴れてポルトカロス家の一員に迎え入れられるわけだが、その後も押し寄せるギリシャの“Big Fat(大袈裟な)洗礼”……。

まず手始めに、式場の手配。格式あるカントリークラブでの挙式を望む両親に対して、「トゥーラの家はうちよりずっと信心深い」と説き伏せ、ギリシャ正教会での婚礼プランを押しきったイアン。

お次は、両家(ポルトカロス家とミラー家)の初顔合わせ。

結婚する当人と両親だけの簡素な食事会の予定が、お祭り騒ぎが大好きなギリシャ人の血が騒いだのか、ポルトカロス家の親戚一同を招集してのパーティに!

……あたかも踏み絵のように、イアンや、彼のプロテスタントの両親の前に、次々と異文化の壁が立ちはだかる。

「イアンがここまでして結婚する価値が私にあるのか?」とハラハラしながら見守る新婦トゥーラに対して、新郎イアンが取った行動とは?

結婚にはそれだけの価値がある?
苦難を乗り越えた先にある感動的な披露宴!

それは結婚によってもたらされる新たな人生を、義務や試練などと思わず、ひたすらポジティブに“愉しむ”ということ。

ポルトカロス家の面々に、ギリシャ語を話せないことをからかわれても、笑顔で笑い飛ばし、トゥーラに「君のギリシャ語、最高にセクシーだ」と言い放つイアン。

同僚であり親友のマイクには、「お前、完全に彼女の家族の言いなりだな。飛べと言われたら飛ぶわけか?」とイジられても、笑顔を崩さないあたり、いっそ清々しいほどだ。

「ありがとう、実にすばらしい結婚式だ」

これは映画の終盤、披露宴の席で、イアンの父親ロドニーがトゥーラへ告げる言葉。

紆余曲折あってようやく辿り着いた披露宴だからこそ、このストレートなセリフが誰しもの心に響く。

PHOTO:AFLO

そしてこの言葉を引き出した要因こそ、花嫁の父、ガスによる素晴らしすぎる披露宴スピーチとサプライズプレゼントにあるのだが、それは見てのお楽しみ! 

誰もが憧れてやまないロマンティックなWedding Movieではないかもしれないが、結婚にはそれだけの価値がある!

素直にそう思える“結婚映画”としてぜひともおすすめしたい1本だ。

(戸田美穂)

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