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結婚準備の参考に!ベストウェディング映画30

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いろいろな想いや揺れを経て迎える
結婚式までの数日間

Monsoon Wedding「モンスーン・ウェディング (2001)」

(c)2001 mirabai films,inc.all rights reserved

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誰と共に人生を歩むか
貴方にとって幸せとは?

過去の自分と決別し、新しい人生の1ページを開く。そのために“結婚”を選ぶ。そんな女性も少なくないのでは?

現代インドの裕福な家庭の結婚式を描いた映画「モンスーン・ウェディング」のヒロイン、アディティが、まさにそんな女性。

それまでの煮え切らない恋愛を清算し、親が勧める理想的な相手との結婚を決意したアディティ。父親はもう狂喜乱舞で、早速結婚の準備に取り掛かる。

(C) 2001 mirabai films,inc.all rights reserved

おもしろいのは、式の準備が進められる中、ぞくぞくと集まって来た一族の前で婚約の儀式が行われ、数日を経て結婚式へ歩を進めるという形式。

庭中が鮮やかなマリーゴールドで埋め尽くされていく、父が愛娘のために進める伝統的で盛大な式の準備風景に、思わず目を奪われる。

だがそれ以上に目が離せないのは、アディティの心の揺れ。一旦、決心したものの、心はまだ揺れているのだ。

果たして父親が望むように、一族皆に祝福された、温かく盛大で理想的な結婚式は、無事に執り行われるのか――。

PHOTO:AFLO

過去と決別したいヒロイン
でも人の心はままならない…

アディティは、TV局に勤める知的で現代的な女性だ。そんな彼女が急に、なぜ父親が勧めるお見合い結婚を承諾したのか――。

その理由は、不倫の清算。彼女が担当してきた討論番組で司会をする、不実なビクラムと別れ、人生を一歩前に進めようとしたのだ。

だが寿退社で職場に挨拶に行ったアディティは、ビクラムと2人きりになった際、思わず唇を重ねてしまう。

© 2001 mirabai films,inc.all rights reserved

その眼差しからも、アディティが気持ちの踏ん切りを付けられていないことは、一目瞭然。観る方は早くもハラハラしてしまう。

一族が祝福ムードに沸き返る中、全てを知る仲良しの従姉リアは、「親の選んだよく知らない相手と結婚するなんて、子供じみてる」と非難する。

「だってビクラムは離婚できないから」と本音を漏らすアディティ。「愛のない結婚はいいわけ?」とリアから投げかけられた彼女は、何も言い返せず黙ってしまう。

誠実そうでハンサムな新郎が到着
晴れて婚約が成立するが……

遂に米国でエンジニアをしている新郎へマントが、アディティの暮らすインドに到着。優しくハンサムな彼は、この結婚を心底喜んでいるようだ。

PHOTO:AFLO

ほぼ一族が揃ったところで、みなが見守る中、指輪を交換し、婚約が成立する。だが、相変わらずアディティに笑顔はない。

PHOTO:AFLO

父は式の準備に奔走し、庭では着々と大きな櫓(やぐら)が組まれ、巨大テントの完成も間近。ローズマリーの門や舗道など、濃い緑とオレンジが一面に広がる、鮮やかな世界が出来上がっていく。

だがアディティは、従姉のリアらと衣装のサリーを買いに行く際も、ひとりだけ別行動をとって食べ歩きをしたりと、相変わらず結婚に踏ん切りがつかない様子だ。

(C) 2001 mirabai films,inc.all rights reserved

全てを知った新郎へマントが
下した決断とは―― 

さて、どうしてもビクラムを忘れられないアディティは、式までにもう一目会いたいと、夜中に家を抜け出し、会いに行ってしまう。

だが、そこでもまたアディティは、彼の不誠実さを目の当たりにする。そんな彼に愕然とし、やっと目が覚めたアディティは、完全なる訣別を心に誓う。

そこでアディティは、なんと深い後悔と懺悔の気持ちを込め、全てをヘマントに打ち明けるというのだ。

「本当に全部話すの?」と止める従姉のリアに、「嘘はイヤ!嘘に支えられた新生活なんて間違ってるわ」とアディティ。

時は既に式前日。涙ながらに謝罪するアディティに対し、普段は穏やかなヘマントも、こみ上げる怒りに体を震わせる。

だが、去っていくアディティの後ろ姿を見つめていたヘマントは、決然とした表情で彼女を追う。そして掛けた言葉は――。

「僕も何年か前に苦しい恋をした。だから君の気持ちは分かる。一緒に乗り越えられないかな。僕は信じてる、君となら幸せになれるって」

歌と笑いと踊りで幸せを呼び込む
希望に満ちあふれたインド式結婚式

へマントの言葉は、共に生きるということは、互いの過去や傷も引き受け合い、支え合うことだと実感させてくれる。

PHOTO:AFLO

一方、この段階で、破談覚悟ですべてを打ち明けたアディティの言動に、へマントが「勇敢で誠実だ」と胸打たれたことも、アディティを選んだ大きな決め手だろう。

そう、結婚の決め手は「信頼」。これに尽きる。不実な相手と“恋愛”はできるかもしれないが、“結婚”はできない。

そして最後に、もうひとつ大事な教訓を教えてくれるシーンが待ち受けている。結婚式だ。

愉快な民族音楽に合わせて、みんなが踊りまくるインド流の結婚式は、これまでの悩みや嫌なことを一気に吹き飛ばしてくれるパワーを持っている。

それは、いろんな悩みや辛さを乗り越えてきた、アディティの笑顔がそれをよく物語っている。

PHOTO:AFLO

“人生には笑いが一番”

この言葉は劇中で登場するセリフだが、結婚式だけでなく、長い人生を生きていくうえで、このインド人スピリッツは、きっと今後心の支えとなるだろう。

ポジティブなエネルギーを与えくれる、宝箱のようなウェディング映画だ。

(折田千鶴子)

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