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最初のプロポーズは別れの始まり
2度目のプロポーズは愛の始まり
The Five-Year Engagement「憧れのウェディングベル(2012)」
Film (C) 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
遠回りしながらも
互いの大切さを認識していく…
プロポーズされ「イエス」と答えた瞬間、カップルは最上級の幸せに包まれます。
「私たちは世界一の幸せ者」「何もかもがパーフェクト!」とハッピーな気分になることでしょう。
素敵なプロポーズを受けて婚約したのですから、まさかその後、なかなか結婚できないどころか別れてしまう…なんて、夢にも思わないですよね。
Film (C) 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
今回ご紹介する映画「憧れのウェディング・ベル」は、一度婚約したのにすれ違いが続いて別れてしまい、そして互いの大切さに気づいてもう一度プロポーズをするカップルのお話。
人生で同じ人と2度婚約しゴールインした2人は、紆余曲折を経て大切なことに気づきます。
最初のプロポーズがあるからこそ、最後のプロポーズは「2人らしいな」と思える素敵なシーン!
幸せな結婚とは何なのか、愛し合うとはどういうことか、じっくり考えさせられる映画です。
Film (C) 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
サプライズはしくじったけど
最高にハッピーだった2人
パーティーで出会い、交際を始めたシェフのトム(ジェイソン・シーゲル)と心理学者志望のヴァイオレット(エミリー・ブラント)。
2人でヴァイオレットの姉のパーティーへ向かうため、車を走らせている場面からこの映画は始まります。
パーティーを楽しみにしているヴァイオレットをよそに、どこか落ち着きのないトム。そして突然、「ああ、領収書を取りに僕のレストランへ行かないと…」と変なことを言い出します。
「そんなの明日でいいじゃない」とヴァイオレットが説得するも、トムは歯切れ悪く「でも…でも…今日行かないと…」をくり返すばかり。
彼の様子がおかしいと思ったヴァイオレットは、「一体どうしちゃったの!?正直に話して!」と詰め寄ります。
そしてトムは叫びます。「今夜、君にプロポーズしようと思ってた!」
Film (C) 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
トムのサプライズプロポーズは失敗してしまいましたが、その後2人でトムのプラン通りに動き、邪魔が入りつつも、やっとの思いでプロポーズ。
ヴァイオレットの返事はもちろん「イエス」でした。
2人の最初のプロポーズは、なんだか締まりのない印象です。
他人からすると「もうちょっとしっかりしてよ!」と思ってしまうかもしれません。
でも、トムなりに一生懸命考えたのであろうプロポーズは、ヴァイオレットを幸せにするには十分すぎるものでした。
Film (C) 2012 Universal Studios. All Rights Reserved.
結婚式を何度も延期していたら…
長すぎる春にすれ違う2人
PHOTO:AFLO
婚約したことだし、さぁここから結婚に向けて準備!といきたいところでしたが、そんなときにヴァイオレットのもとへミシガン大学から手紙が届きます。
それは、ヴァイオレットを心理学者の卵として採用するという通知でした。
自分のキャリアを考えると、絶対に行きたいヴァイオレット。しかしミシガン大学はここから通えない…。
トムは迷うヴァイオレットの気持ちを汲み、結婚を延期して自分の出世を捨て、彼女と一緒にミシガンに行くことを選択しました。
PHOTO:AFLO
そしてここから2人のすれ違いが始まります。トムは前よりランクが下の店で働くことに不満を感じ、ミシガンに来たことを心からよかったとは思えませんでした。
彼は幸せではなかったのです。そしてそういった感情は、言わなくても恋人に伝わってしまいます。
正直、トムの選択はすごいと思います。自分の出世より、恋人のキャリアを優先する…なかなかできることではありませんよね。
それくらい大きな愛がそこにはあったはずなのに、2人の関係はこじれにこじれ、「私たちは完璧じゃなかった」と、結局別れてしまいます。
やっぱりあなたじゃないとダメ!
2度目のプロポーズで愛を誓い合う
PHOTO:AFLO
別れてから2人はそれぞれ別のパートナーとつき合いますが、「やっぱり違う!」とお互いの大切さを認識。再会した2人は、また愛し合うようになりました。
ある日2人が車に乗っていると、ヴァイオレットが突然「次のかどで脇道に入ってちょうだい」と言い出しました。
「なんで?」と質問するも、彼女は答えず、無理やりハンドルを掴んで道を曲がってしまいました。
「どういうつもりだ!?危ないじゃないか!」と詰め寄るトムに、ヴァイオレットは言うのです。
「あなたにプロポーズしたかったから!」…この先は、ぜひ本編でお楽しみください。
PHOTO:AFLO
この映画が素敵なのは、“完璧ではないカップル”を肯定してくれるところだと思います。
ヴァイオレットはトムと再会したあとも、「口論をしてしまうから私たちは結婚してもうまくいかないんじゃないか?」と考え、結婚することを躊躇していました。
しかし彼女は気づくのです。カップルの間に問題が起こるのはとても自然なこと。
それをすべて解決してから結婚することが幸せなのではなく、一緒に問題を乗り越えられることこそが、幸せな結婚なのだと。
PHOTO:AFLO
思えば2人の最初のプロポーズは”完璧”ではありませんでした。
用意していたサプライズは失敗し、いざプロポーズというときに邪魔が入り…2回目のプロポーズだって、プラン通りにはいきませんでした。
しかしそれは、これからも問題を抱えるであろう、不完全なトムとヴァイオレットらしいプロポーズ。
「私たちは完璧だから結婚するわけじゃない!一緒に乗り越えていこう!」というポジティブなメッセージが伝わってきます。
マリッジブルーで「本当にこの人でいいのかな?」と不安になったとき、ぜひこの映画を思い出してください。
完璧なんてあり得ない。困ったことがあったとき、誰と一緒なら乗り越えられるか?そう考えれば、自然と答えが見つかるはずです。