結婚後はこんな二人になりたい!理想の夫婦像に出会える映画10
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本当に大切なものを教えてくれる
“if=もしも”の世界を描いた物語
The Family Man「天使のくれた時間(2000)」
(C)Beacon Communications LLC
歩んできた人生によって
幸せの形や価値観は人それぞれ
結婚が決まったカップルならば、「こんな夫婦になりたいね」「こんな家庭を築きたいね」と話し合う機会も多いと思います。
そんなときに自分の両親を思い浮かべる人もいれば、仲良し夫婦で知られる芸能人カップル、はたまた映画やドラマなどで観た夫婦を想像する人もいるでしょう。
ですが、それは2人がこれまでに生きてきた価値観によっても違ってくるもの。
それこそ価値観というのは、その人の考えや、その人そのものを表すものでもあり、それが違ってくるとなると、結婚して一緒に生活するのに不安を抱える方も多いかもしれません。
しかし、それでも自分にとって本当に大切なものが何かに気づくことができれば、人は変われると教えてくれるのが、映画「天使のくれた時間」です。
この作品の肝となるのは、主人公のジャック(ニコラス・ケイジ)が経験する“if=もしも”の世界(パラレルワールド)です。
将来のために一時的に別れたはずが
気づけば13年の月日が流れ…
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映画は、大学時代からつきあっていたジャックと恋人のケイト(ティア・レオーニ)の別れのシーンから始まります。
といっても、それは恋人関係の解消ではなく、ジャックがロンドンの大手銀行で研修を受けられることになり、本来ならばしばしの別れのはずでした。
しかし、そこから13年後の2人は別々の人生を歩んでいます。
空港での別れの際に「たとえ100年離れ離れになっても、僕らは変わらないよ」と宣言したジャックでしたが、13年経った今の彼は、ウォール街で大手金融会社を経営するやり手の社長。
仕事第一主義でありながら、高級マンションの最上階で暮らし、女性関係にも困らない独身貴族になっていました。
朝、目覚めると妻と2人の子供が!
選択しなかった別の人生を歩む
ことに
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そんな彼に転機が訪れるのが、クリスマス・イブの夜。
自身の会社にとって大きな局面となる会議を終えたジャックは、家に帰る途中に立ち寄ったスーパーで、強盗まがいのことをしている黒人青年(ドン・チードル)と出会います。
その場のもめごとをうまく収めたジャックでしたが、青年は「これから起こることは、あんたが招いたことだ」という謎めいた言葉を残して立ち去ってしまいます。
ジャックはその言葉の意味がわからぬまま、自宅のベッドルームで眠りにつきますが、翌朝目覚めると、そこは見知らぬ家で、隣にはかつて別れたケイト(ティア・レオーニ)の姿が!
しかも、いきなり幼い娘と息子、大型犬にまでベッドに乱入され、わけのわからないジャックは家を飛び出してしまいます。
しかし、もともと自分が住んでいた高級マンションに行っても不審者扱いをされ、自身が経営していた会社の社長も自分とは異なる名義に。つまり、その世界ではジャックの存在はすっかり消えていたのでした。
セレブ生活との違いにイライラが
募るも、家族との生活を送るなかで
変化が現れる
ケイトはジャックに起きたことについては何も知りません。ケイトと暮らしている(パラレルワールドの)ジャックはよき夫であり、よき父親だったのでしょう。
しかし、ジャックは以前の自分を覚えているだけに、いきなり2人の子どもの親になっていること以上に、これまで自分が過ごしてきたセレブ生活との違いにイライラが募っていきます。
とはいえ、元の世界に戻れる手段は見つからず、ジャックもこの生活になじまざるを得ません。その手助けをしてくれるのが、娘のアニーでした。
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今のジャックは普段のパパとは違うと一早く気づきながらも、「パパにそっくりなエイリアン」だけど、「自分たちに悪さをしないのならいいよ」と彼の存在を認めるアニー。
そこからジャックに普段の生活のあれこれを教えていくアニーのおしゃまな言動が愛らしく、ジャックも次第に家族との生活を受け入れるようになっていきます。
しかし、そこに現れるのが、ジャックが前の世界で社長を務めていた会社の会長。もちろん、このパラレルワールドでは会長はジャックの存在を知りません。それでもジャックはこれまでの知識と情報をフル活用して会長に近づき、以前と同じ裕福な生活を取り戻すために動き始めるのですが…。
と、ここまでだと「これのどこが理想の夫婦なの?」と思われる方もいるかもしれません。
たしかに、ジャックはセレブ時代の生活を忘れることができず、それに違和感を抱くケイトとしばしば衝突を繰り返します。
それでもジャックの心には確実に変化が訪れており、ケイトと子どもたちを見つめる目がどんどん優しく、親しみのあるものに変わってきます。
自分にとって何が一番なのかを
見極めるのは大切なこと
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これまでの人生では事業を拡大することばかりを考え、「クリスマスの夜は家族と食事の約束が…」という部下に対して「休暇なんて後だ」と言い放つほど仕事人間だったジャックと、つねに家族のことを考えて暮らしてきたケイト。
きっと、そのままの2人だったら、一生、価値観が合うことはなかったでしょう。
でもジャックの身に起きたクリスマスの奇跡があったからこそ、ジャックは自分の人生に足りないものは何だったのかに気づくことができました。
もちろん、お金もあって、仕事も充実していて、家庭も円満とすべてがそろっていたら、これほど幸せなことはないと思いますが、人生はそうそううまくいくものではありません。
だからこそ、自分にとって何が一番なのかを見極めるのは大切なこと。人生は前に進むことも必要ですが、ジャックのように一度立ち止まることで見えてくるものもあるのかもしれません。
そのうえでお互いのパートナーと話し合い、改めて自分にとってどういう存在なのかを見つめ直せば、おのずと互いにとっての理想の結婚、理想の夫婦像が見えてくるのではないかと思います。