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万年ブライズメイドだった女性が
本物の花嫁になるために必要なプロセス
27 Dresses「幸せになるための27のドレス (2008)」
(c)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
結婚式という人生の晴れ舞台に見る
女性の幸せな生き方
純白のウェディングドレスを着て、ヴァージン・ロードを歩み、祭壇の前で花婿と共に誓いの言葉を交わし合う。
式に集った人々から温かな祝福を送られるふたり――。
この注目の的になる時こそ、女性が人生で最も輝かしいスポットライトを当てられる瞬間かもしれない。
「幸せになるための27のドレス」は、そんな人生の晴れ舞台に辿り着くまでの紆余曲折から、“本当の幸せ”を浮かび上がらせていくロマンティック・コメディ。
主人公のジェーンは、世話好きでお人好し。他人の結婚式のブライズメイドを引き受け続けているものの、自分の結婚は未定……というちょっと残念な女性だ。
(c)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
主演は、キャサリン・ハイグル。頼られると胸を貸さずにはいられない長女気質が、スレンダーでクールな外見にぴったり。
人を優先してばかりで、いつも“損な役まわり”をしてしまうヒロインを、等身大な魅力で演じている。
人を立ててばかりの姉
おいしいとこ取りの妹
幼い時に母を亡くして以来、面倒見のよさに磨きをかけてきたジェーン。
とりわけ、結婚式には思い入れがあり、会社で秘書として働くかたわら、ブライズメイドとして、ニューヨーク中のいくつもの式で新郎新婦を盛り上げている。
実は、彼女は社長のジョージに恋しているが、彼は一向に気づかない。
そんな時、妹のテスがニューヨークに帰ってくる。彼女は派手で美人だが、わがままな性格で、姉のジェーンに頼ってばかり。
(c)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
ところが、テスとジョージは互いに一目惚れ!テスは得意の嘘でジョージ好みの女性を演じ、トントン拍子で結婚することが決まってしまう。
内心深く傷つきながら、ふたりの結婚式のブライズメイドを引き受けたジェーンを、じっと見つめる男性がいた。
それは、ひょんなことから知り合いになっていた記者のケヴィン。
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「結婚式は偽善だ」と言い放つも、仕事で結婚式の記事をメインに書いていた彼は、ジェーンの“ブライズメイド掛け持ちライフ”に興味を持ったのだ。
ケヴィンはジェーンへの取材を決行。彼女の自宅で、これまでブライズメイドを務めた際に着た27着のドレスを見せてもらう。
(c)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
ジェーンは言う。
「これらを見ると楽しい思い出が甦るの。式の主役は花嫁で、私じゃないのよ。花嫁を引き立ててあげるのが本当のサポート役。私は人を立てるのがうまいから」
そして、こう付け加える。
「いつかきっと、私が主役で、友だちが集まってくれる」
「今どきこんなイイ人いる?」と思っちゃうほど健気で乙女なジェーン。案の定(?)ケヴィンは、彼女に愛おしさを抱き始めていくのだ。
ちょっぴり損していた運命を
亡き母のウェディングドレスが変えた!?
ほかのシーンでも、ジェーンが結婚式への思いを語るセリフで印象的なものがある。ジョージに、「結婚式で君が一番好きな場面は?」と尋ねられた時の答え。
PHOTO:AFLO
「花嫁が入場して、みんながそっちを振り向く。その瞬間の花婿の表情よ。純粋な愛に満ちている」
さて、まもなくケヴィンと心を通わせる関係になったジェーンだが、ある誤解から、ふたりの距離はまた開いてしまう。
一方、着々と式の準備を始めるテス(と言っても、準備のほとんどを手配しているのはジェーン)。
PHOTO:AFLO
が、なんと、テスは式で着る予定だった、母の形見であるウェディングドレスを、原型をとどめないほど勝手にリフォームしてしまったのだ!
これには、さすがのジェーンも激怒。彼女の最大の夢は、この母のウェディングドレスを着て自分の式を挙げることだった。
PHOTO:AFLO
何より大切にしていた母の思い出をズタズタにされたジェーンは、婚約パーティで、ジョージや親族が揃う中、大胆な方法でテスの本性をばらし、恥をかかせる。
もちろん、ジョージとテスの結婚はご破算。
親友には「20年間のうっぷんを晴らしただけよ」と怒られ、ケヴィンには「君は人助けを卒業した」と慰められるジェーン。いずれにせよ、心は晴れない。
結婚を壊された妹だが、後日、再会した姉の前で、彼女が抱き続けてきた姉に対するある本音を打ち明け……。
そして、いよいよ映画もクライマックスへ。
ブライズメイドとして、人に光を当て、結婚式の裏方に徹してきた彼女は、果たして自分が花嫁になることができるのか?
「こんな素敵な女性になりたい!」
そう思わせてくれるフェアな生き方って?
ジェーンは、損得勘定などなく、心から人の世話をして役立つことが好きな女性だと思う。そういう稀有な思考の持ち主が、世の中には(ごく僅かでも)いるものだ。
でも、いつか自分もきっと、表舞台に立って、光を浴びたいという願望はある。
この気持ちは、誰もが持っている健全なもの。ただ彼女は、あまりにも長くそのチャンスを手に入れることができないできた。
ひょっとしたら、他人の引き立て役をしているうちに、それが彼女の居心地良いポジションになってしまい、自分が人生の主役を担うのは“ファンタジー”と思い込んでいたのかも。
PHOTO:AFLO
そして自分の人生を“こんなもの”と悟った気になり、ステージに上がることすら拒んでいたのではないだろうか?
けれど、誰かを引き立て、また誰かに引き立てられてこそ、フェアな生き方ではないか――そう私は思うのだ。
ある時は裏方に励み、ある時は堂々と表に立つ。そのバランスこそが美しいのでは?
ジェーンは最後、人生を共にする男性を選ぶのだが、この“決め手”が最高!つい「人の後ろにばかり回ってしまうな」と感じている女性ほど、ここは参考にしてほしい。
結婚式。それは、多くの女性にとって一番の晴れ舞台。
遠回りして辿り着いたからこそ、人生のスポットライトはより強く輝きを放つもの。そして神聖な場所、そう強く実感させてくれるのだ。