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トラブルを予習して結婚式準備を万端に!結婚式までのトラブルに学ぶ映画10

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強い絆で結ばれたカップルに
降りかかる過酷な運命

If Beale Street Could Talk「ビール・ストリートの恋人たち(2019)」

© 2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

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人種や社会に対する差別の問題を描く
社会派ラブストーリー

「あなたはここにいる〇〇を、病めるときも、健やかなるときも、富めるときも、貧しきときも、妻として(夫として)愛し、敬い、慈しむことを誓いますか?」
 
この言葉を投げかけられ、あなたが新婦もしくは新郎としてその場にいたら、もちろん「誓います」と答えますよね?
 
でも、その思いを強く持っていたとしても、「誓います」と宣言する場すら与えられなかったカップルが「ビール・ストリートの恋人たち」の2人です。

©2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

監督は「ムーンライト」でアカデミー賞作品賞、脚色賞に輝いたバリー・ジェンキンス。ラブストーリーとしても秀逸ですが、人種や社会に対する差別の問題を描いた社会派ドラマとしても見応えのある作品です。
 
ちなみに、彼女・ティッシュの母親を演じたレジーナ・キングは、この作品でアカデミー賞助演女優賞を受賞しています。

1970年代のニューヨーク。
無実の罪で引き裂かれた2

PHOTO:AFLO

時は、人種差別が激しかった1970年代のニューヨーク。
 
幼い頃から共に育ったティッシュ(キキ・レイン)とファニー(ステファン・ジェームズ)は、成長するにつれて自然と愛し合うようになります。
 
相手が幼なじみとはいえ、初めての恋にドキドキするティッシュと、彼女を宝物のように大切に扱うファニー。
 
そんな2人の恋は見ているこちらが恥ずかしくなるほど、ウブで真剣。だからこそ、その後の彼らに待ち受ける過酷な運命に胸が痛みます。
 
ある日、ファニーは身に覚えのない強姦罪で逮捕され、留置所生活を余儀なくされます。でも、それは小さないさかいから白人警官の怒りを買ってしまったからでした。

留置所のガラス越しで会う2人。
彼を助け出そうと奔走するが…

PHOTO:AFLO

留置所での面会に訪れたティッシュはファニーに「赤ちゃんができた」と告げます。そして、2人は「愛してる」と言いながら手を重ねるのですが、それが留置所のガラス越しというのがとても悲しい。
 
そこからティッシュとその家族の闘いが始まります。ファニーの無実を証明しようと悪戦苦闘するも、弁護士からは「重要参考人の女性が行方不明になった。彼女を探すには金がかかる」と告げられ、さらにもう1人の重要参考人は以前ファニーともめた白人警官。
 
当然、白人警官はファニーのことをよく思っていませんし、時代は人種差別で黒人が虐げられ、ときには黒人に無理やり冤罪を着せることもあった1970年代。ファニーに有利な証言をしてくれるはずがありません。
 
さらに悲しいことに、ファニーの母親は狂信的な宗教信者で、ファニーが捕まったのはティッシュのせいだと思っており、ティッシュに対して「息子を破滅させる女ね」とまで言い放ちます。
 
よくこんな母親のもとでファニーのような好青年が育ったなと思ってしまうほどの毒親です。ゆえに、ファニーの家族を頼ることもできません。
 
そんなときに行方不明になっていた重要参考人の女性がプエルトリコにいることがわかります。そこに向かう資金を貯めるためにティッシュはお腹が大きくなってからもデパートの香水売り場で働き続け、ようやくティッシュの母親がプエルトリコに向かうことに。
 
しかし、その交渉も失敗し、ファニーの裁判は延期。その知らせを聞いたファニーは「大丈夫、けっして負けない」と言いながらも落胆を隠せません。それでも「君のもとへ戻るよ。赤ん坊をこの腕で抱きとめるよ」と告げ、ティッシュへの愛をさらに強めます。

互いを信じ、
愛を貫こうとする姿に
勇気をもらえる一本

©2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All Rights Reserved.

その後、子どもが産まれるも、映画の冒頭と同じ「私たちはまだ結婚していない。彼はそれを強く意識している。彼は22歳、私は19歳」というナレーションが流れます。
 
22歳と19歳の若者が背負うにはあまりにも過酷な運命。それでも互いを信じ、愛を貫こうとする2人の姿はとても美しく、愛の強さを感じさせてくれます。
 
今の時代、さすがにここまでのトラブルは起きないかもしれませんが、この2人に比べれば自分に起きていることなどなんてことはないと勇気をもらえる一本になっています。ぜひ恋人や家族、友達など、大切な人と一緒に見てくださいね。

(馬場英美)

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