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結婚後はこんな二人になりたい!理想の夫婦像に出会える映画10

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夫婦とは、親子とは何かを問う
ヒューマンストーリー

The Light Between Oceans「光をくれた人(2016)」

(C) 2016 STORYTELLER DISTRIBUTION CO., LLC

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幸せなときよりもピンチのときこそ
見えてくる相手への思い

結婚はゴールではないとよく言いますが、長い人生どんなにラブラブなカップルでも、ときにはケンカをしたり、乗り越えないといけない壁にぶち当たることもあるでしょう。
 
そのときに自分は相手のために何ができるのか、相手は自分のことをどう思ってくれているのかは、もしかしたら幸せなときよりもピンチのときにこそ見えてくるものなのかもしれません。
 
今回紹介する映画「光をくれた人」に登場するカップルも結婚生活の中で大きな試練を向かえます。
 
それはとてもせつなく悲しいものではありますが、彼らが相手を思いやってこそ下す決断は、“夫婦とは何か”“親子とは何か”について考えるきっかけを与えてくれるでしょう。

孤島で幸せに暮らし始めた2人を
大きな悲劇が襲う


PHOTO:AFLO

主人公のトム(マイケル・ファスベンダー)は、第一次世界大戦の西部戦線から帰還した元軍人です。戦争で心身ともに疲弊した彼は、オーストラリアの孤島・ヤヌス島の灯台守として雇われます。
 
ヤヌス島にいるのは灯台守だけで、前任者が精神を病んでしまったというほど孤独な島です。
 
しかし、心に深い傷を負っているトムにとっては、この島の静けさはありがたいものだったのかもしれません。
 
そんな彼の救いとなっていくのが、島に近い港町で出会ったイザベル(アリシア・ヴィキャンデル)でした。
 
彼女は口数の少ないトムの話を親身になって聞き、トムもまた明るく聡明なイザベルに心を開くようになっていきます。
 
やがて2人は結婚し、ヤヌス島で一緒に暮らすようになります。美しい島での2人だけの生活、彼らはこれほどにないほど幸せなときを過ごしていきます。
 
しかしある嵐の夜、イザベルは身ごもっていた子供を流産し、その後に授かった子供も死産してしまいます。

赤ん坊を乗せたボートが島に漂流、
夫婦は我が子として育て始めるが…


PHOTO:AFLO

悲しみに暮れる日々を送る2人でしたが、ある日、島に生後間もない赤ん坊とその父親と見られる男性を乗せたボートが漂着します。
 
男性はすでに亡くなっており、トムはすぐに本土に報告すべきだと主張しますが、自分の子供を失ってすぐのイザベルはその赤ん坊を手放すことはできませんでした。
 
イザベルはトムを説得し、その子に「ルーシー」という名前をつけて自分たちの子供として育てることにしました。
 
ルーシーは2人のもとですくすくと育っていき、トムもイザベルもルーシーを自分の娘として愛しました。その姿は本物の家族そのもので、その後の展開を思うと、幸せな姿ですら、せつなく見えてきます。
 
そんな彼らの生活に転機をもたらしたのは、トムが義父から聞いた話がきっかけでした。
 
それは「町で一番裕福な家の娘が親の反対を押し切って結婚したものの、生まれたばかりの娘と夫がボートで沖に流され、そのまま戻ってこなかった」という話で、トムはそれを聞いて動揺が隠せませんでした。
 
当然のことですよね。自分たちが育てている娘のルーシーが、その赤ん坊なのですから…。

育ての母と実母の子を思う気持ちに
心が張り裂けそうになる


PHOTO:AFLO

良心の呵責に耐えられなくなったトムは、ルーシーの実の母親(レイチェル・ワイズ)に「娘さんは愛され、大事にされています。夫君は御許で平安に…」という無記名のメッセージを残します。
 
でも、それがトムとイザベルに悲しい運命をもたらしてしまうのです。
 
娘のルーシーと一緒にいたいと思いながら、社会的判断としては正しいとされる行動を取るトムと、我が子を失った悲しみから救ってくれたルーシーを自分の娘と信じ、母性のままに自分の手で娘を守ろうとするイザベル。
 
そんな彼らの姿を観ていると、何が正解で、何が間違っているのか、答えのない問いかけをかけられているようで胸が苦しくなります。


PHOTO:AFLO

そして、この映画では、ルーシーの実母・ハナの葛藤についても描かれます。
 
幼いルーシーはイザベルを母親と思っているのですから、本当の母親であるハナを目の前にしてもわかるはずがなく、「ママに会いたい!」と泣き叫びます。
 
このときのハナの気持ちを考えると、娘と会えた喜び以上に、自分をママと認めてくれない悲しみがあったでしょう。だからこそ、彼女もまたある決断を下そうとするのですが…。

大切な人を幸せにしたい
という思いが
理想の夫婦への第一歩かも


PHOTO:AFLO

夫婦だけでなく、親と子の関係、しかも“育ての親”と“実の親”という難しい問題を扱った本作。
 
とても重いテーマの作品ではありますが、トムとイザベルの夫婦はもちろん、実母のハナの根底にあるのは、ただただ大切な人を幸せにしたいという思いだったのだと思います。
 
その“大切な人を幸せにしたい”という思いこそ、相手のことを思い、自分のことも思いやってくれる“理想の夫婦”を目指す第一歩なのかもしれません。
 
ちなみに、この作品で共演したマイケル・ファスベンダーとアリシア・ヴィキャンデルは、後に実際の夫婦となりました。
 
それを思って観ると、トムとイザベルの島での新婚時代のラブラブは本物だったのかも!?
 
(物語上の)トムとイザベル、そして(実際の)マイケルとアリシアの美しい景色の中での美男美女のラブラブシーンは、観ると自分も幸せな気分になれますし、この映画の見どころの一つでもあるので、ぜひご覧ください。

(馬場英美)

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