結婚生活76年。関係は“初恋”のまま
奇跡ともよべる愛のカタチ

My Love, Don't Cross That River「あなた、その川を渡らないで（2014）」

"恋愛映画のような恋"は実在する！
かわいらしい老夫婦の姿を写す作品

“恋愛映画の主人公のようなカップルになりたい”

そう憧れを抱く人は多いと思いますが、現実ではそれがとても難しいことだと感じている人も少なくありません。

しかし、韓国発のドキュメンタリー「あなた、その川を渡らないで」は、“恋愛映画のような恋”が、実際に存在することを教えてくれます。

結婚生活76年。素敵な老夫婦から学べることがたくさんある本作。理想の夫婦像を見つけたい方におすすめです。

韓国で異例の大ヒット！
さらに世界中の映画祭で絶賛された
ドキュメンタリー

2014年に小さな規模で公開された「あなた、その川を渡らないで」。老夫婦の純愛物語に心掴まれた人も多く、口コミであっという間に大ヒット作品となりました。

さらには、世界中の映画祭で上映されるまでになった本作。なんとロサンゼルス映画祭最優秀ドキュメンタリー作品賞を受賞するなど、高評価を獲得しています。

ちなみに韓国では、本作の観客層は若者が圧倒的に多かったのだとか。

若者たちを感動させたその理由とは、一体なんなのでしょうか。

互いを見つめる目はきっと初恋の時のまま。小さな村での老夫婦の生活

韓国の小さな村で生活する89歳のおばあさんと98歳のおじいさん。

おばあさんが14歳のころに出会ったという２人は結婚生活76年目です。

家の前の落ち葉を一緒に片付け、落ち葉を投げ合いながら楽しみ、さらにはおじいさんが花を摘んできてプレゼント。そしておばあさんはうれしそうに花に顔を寄せます。

そしておばあさんは、おじいさんに花を飾って「いつまでもハンサム」と笑顔に。そんなステキなシーンから本作はスタートします。

２人の目には初恋の時の相手が映っている。それが、スクリーンからすぐに伝わってきます。

ほっこりした生活が
いつまでも続く…わけではなく、
おじいさんの容態が悪化

おじいさんとおばあさんはいつも派手目な韓服をおそろいで着用し、手をつないで散歩したり出かけたりします。その仲睦まじい姿に、訪れた家族や周りの人々も笑顔に。

そんな誰もが羨む日々を過ごしていた２人でしたが、おじいさんの咳がどんどん酷くなっていき、また、おばあさんもひざの痛みに悩まされ始めます。

雪だるまを一緒に作ったり、水遊びをしたり笑顔が絶えない日々を過ごす一方で、着々と近づくおじいさんとの別れ。

おばあさんは、「おじいさんが天国でも服を着ることができるように」と、１人でおじいさんの服を燃やし始めます。

1年以上夫婦に密着し、奇跡とも
よべる純愛の理由が明らかに

本作でチン・モヨン監督が夫婦に密着したのは、15か月。

互いに笑いあったり、慰めあったり。とても楽しそうに暮らす姿に感動する一方で、「私もこうなりたい」という憧れも強く抱かせてくれます。

また、おばあさんがおじいさんとの出会いを、しみじみと振り返るシーンもたくさん。

おばあさんはおじいさんと出会ったとき、恥ずかしくて隠れたこともあったそう。

また、戦時中に子供を亡くしてしまったことなど、ツライことも振り返るおばあさん。

76年もの月日の中であった困難を、一緒におじいさんと乗り越えてきたのだと思います。

そんな困難や幸せを乗り越えてきた２人。これぞ、まさに理想の夫婦像。本作のように、おじいさんやおばあさんになっても手を繋いでいたいものです。

（トキエス）