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“こんな家族になりたいな”
デコボコ家族の絆に、
ほっこり&スッキリ!
LITTLE MISS SUNSHINE「リトル・ミス・サンシャイン(2006)」
(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
アカデミー賞脚本賞に輝く、笑って泣ける傑作ロードムービー
今、結婚準備期間中の方は、彼と家族になれる喜びと不安の両方を感じていると思います。
特に彼との価値観の違いに気づいた時は、「これからの長い人生を共に歩めるのだろうか?」と不安が大きくなりますよね。
そんな不安が広がった時に観て欲しいのが、この「リトル・ミス・サンシャイン」です。
バラバラな家族が絆を取り戻すまでをハートフルに描き、アカデミー賞をはじめとする各国映画祭で絶賛された快作。
笑って泣いて、ほっこりしながら、“家族の存在”の温かさにジンとくる、本当に素敵な映画です。
鑑賞後にはきっと「彼とこんな家族を作りたい」と前向きな気持ちになっていると思いますよ。
クセあり過ぎで、考え方もバラバラな6人家族の物語
(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
崩壊寸前のフーヴァー家の面々はクセ者ぞろい。
人間を勝ち馬と負け犬に分け、勝つことにしか価値を見出さないパパ。
ニーチェの影響で9か月間も無言を貫き、筆談で話す反抗期の息子ドウェーン。
ヘロインと女が大好きな不良おじいちゃん。
ぽっちゃりで眼鏡っ子、ぶちゃ可愛いい天真爛漫な7歳の娘オリーヴ。
そんな個性の強い家族を必死でまとめようとするママ。
そこに、恋人に裏切られ自殺未遂を図ったゲイの伯父フランクが仲間入りします。
協調性ゼロで自分のことしか考えない一家は、もちろんトラブルだらけ。経済的に苦しい理由もあって、いつも口論が絶えません。
美少女コンテストの会場を目指して、ポンコツ車で1,000キロの旅へ
そんな折、ひょんなことからオリーヴが美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」の決勝大会に出場することになり、家族全員でおんぼろワゴン車で出発することに。
(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
車の故障や破産など、さまざまなトラブルに見舞われながら、1,000キロ以上先の開催地を目指します。常に勝つことを家族にも強要する口うるさいパパを中心に、ケンカばかりの家族はいつもギスギス。
誰も相手の話を聞こうともせず、自己主張を重ねるばかりで「そりゃあ、ケンカになるよね」と、少しどんよりした気分になってきます。
PHOTO:AFLO
ですが、旅の途中に予想外のハプニングが続出!
おんぼろ車はクラッチが壊れ、家族みんなで押して発進させてから飛び乗ることになったり、ある重大な秘密をトランクに隠したら警官に停められてしまったりと、行方を阻む緊急事態が次々に起こります。
そのハプニングのどれもこれもが、発端も意外ながらピンチの切り抜け方も突飛で、思わずクスッと笑ってしまうことばかり!
どこかニクめない登場人物たちが、危機を乗り越える度に、険悪ムードから少しずつ様子を変えていくところも微笑ましく、いつしかほっこりと温かい気分に満たされていきます。
家族だからこそ傷つけ合い、家族だからこそいたわり合える
徐々にスピード感を上げながら車は目的地に近づいていきますが、その途中に遭遇するトラブルではそれぞれが夢や希望や愛などを失い、傷ついていきます。
例えば、自己啓発本の出版を計画し、仲介人からの連絡を今か今かと待ちわびるパパは、電話であっさりと断られ、ガックリ。
本の印税を収入源に考えていたママはぶち切れますが、そんな折、ケンカばかりだったおじいちゃんが、「チャンスに挑戦したお前を誇りに思う」と、優しい言葉をかけます。
またある時は、「みんな大嫌いだ!」と家族みんなを憎んでいたドウェーンが、涙を流すママを見て、「ハグをしてあげて」とオリーヴにメモを。
(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
そんなドウェーンが打ちひしがれた時には、オリーヴが何も言わずに肩に手を回し、悲しみを共有しようとします。
そう、この映画が観客の心をポッと温かくするのは、家族の根底に流れる普遍的な愛情をとても丁寧にすくい上げているから。
家族といえども価値観は違うしケンカもする、けれど誰かが辛い時にはそっと心に寄り添える、そんな“家族愛”の温かさをじんわりと描いています。
「病める時も健やかなる時も~」と誓いの文句にありますが、いつも支え合うなんてそんなの無理。
でも、心折れた時にはそばにいて、その辛さを共有することで絆を深めていくのが“家族”なのです。
アナタは彼が傷ついた時、どうしますか?また、どうされたいですか?
「ただ、そばにいたい。いて欲しい」と願うのなら、きっとアナタは彼と素敵な家族になっていけるのだと思います。
心に沁みる負け組への応援賛歌
負けたって家族がいれば大丈夫
(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
もう1つ、この映画がジンとくる理由に、負け組への優しい視線があります。
登場人物は、勝ちに執拗にこだわるパパをはじめ、みんな何かを失う負け組ばかり。
しかも、事態は好転せず、華やかな逆転劇もありません。
ですがクライマックスで、オリーヴを守るために家族みんなで起こすムチャな行動からは、「負けたっていいじゃない!やりたいことをやろうよ!」というとても前向きなメッセージが伝わってきます。
“負けたっていい、他人にどう思われたっていい。傷ついても、そこに家族がいれば大丈夫”
彼らが他人に白い目で見られながらも全身でそう伝えるメッセージは、温かな笑いと共に心に染み、思わずホロリとなるほど感動的です。
「家族っていいなぁ」ととても素直に思え、大家族を作りたい気分にまでなっちゃいます。
彼と家族になることに不安を覚え、イライラしたら、ぜひこの映画を観てください。
価値観が合わなくても、トラブルに見舞われても、それを逆に絆に変えていけるのが家族。
そして、そんな家族の存在は何よりも心強い味方だと教えてくれるこの映画に、きっと一歩を踏み出す勇気がもらえます。