笑いと感動がたくさん詰まった
一族が会する
クリスマスイブパーティー

Love the coopers「クーパー家の晩餐会（2015）」

日本では多くの人が「年末年始は家族で過ごすもの」という印象が強いと思います。

しかし欧米では「クリスマスこそ家族で過ごす最大のイベント」なのだとか。

今回ご紹介する「クーパー家の晩餐会」で描かれるのも、家族そろってのパーティが始まるまでの1日です。

映画はクリスマスムードが満載で、ワンちゃんたちの服がサンタクロース風であれば、街や電車にもサンタクロースがいっぱい。冒頭からクリスマスシーズンらしい華やいだ空気をたっぷり感じることができますよ。

年に1度の大切なの晩餐会に
たくさんの秘密を抱えた一族

PHOTO:AFLO

4世代11人のクーパー家一族が集まる大切なクリスマスイブの晩餐会。

しかしクーパー家の人々はうかない表情。それもそのはず、彼らはそれぞれに問題を抱えているのです。

まず、第1の問題は、パーティを主催するシャーロットとサム。40年連れ添った夫婦でありながら、じつはパーティの翌日に離婚することが決まっているのです。

サムはパーティが始まる前に子どもたちに離婚のことを話すべきだと主張しますが、シャーロットは「子どもたちに完璧なクリスマスの思い出を」という思いが強く、サムの意見に反対します。

当然、夫婦間はギクシャクしていて、本当にパーティは大丈夫なのだろうかと心配になってしまいます。

しかし、問題を抱えているのは、シャーロットとサムだけではありませんでした。

誰にもバレずに
この一夜を乗り切れるのか…？

幼い頃から優秀だった姉のシャーロットに対抗心を燃やしていたエマは、パーティ当日、姉のためにお金を使いたくないばかりに万引き事件を起こし、警察に逮捕される事態に。

さらに、シャーロットの息子のハンクも、元妻との間にできた3人の子どもたちを抱えながら、いつまでも職に就けずにいることを家族に告げられずにいるのです。

そして、娘のエレノアは妻子ある医師との不倫中で、空港で偶然出会った軍人に恋人のフリをしてほしいと頼み、彼を家に連れて帰ります。

ドキドキでいっぱいのパーティーにさらなるアクシデントが

それぞれの秘密が「家族にバレたら大変！」となるのですが、この映画のいいところは、家族が顔を合わせる前の物語が丁寧に描かれているところです。

映画を観ている側からすると、パーティが開かれる前から彼ら、彼女らの秘密を知っているわけですから、なかなかにドキドキします。

家族や目の前の幸せの大切さを
痛感する感動の結末とは

さらにパーティの途中で停電になったと思ったら、祖父のバッキーが突然倒れてしまい、一家はそろって病院へ。

楽しいはずのクリスマスがとんでもない事態に発展してしまうのですが、登場人物たちがそこでようやく家族の大切さに気づいていく姿は心がほんわりと温かくなります。

そして、最後にバッキーが言う「大切なものは目の前にある」というセリフがこの作品のメッセージになっており、ウソや意地の張り合いをやめ、本来の姿に戻ったクーパー家の人々の幸せな姿からは、「家族っていいものなんだ」ということが改めて伝わってくると思います。

ちなみに、クーパー家の長男ハンクの息子役で、「君の名前で僕を呼んで」でブレイクする前のティモシー・シャラメが出演しています。反抗期のティーンエイジャーを演じていて、思わず笑ってしまうほど不器用でへたっぴなキスシーンを披露しているので、そこにも注目してみてください。

（馬場英美）