「戸籍謄本」と「戸籍抄本」…なにが違うの?入手方法や有効期限も解説!
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「戸籍謄本」と「戸籍抄本」。
なんだか難しそうな名前の書類ですが、いったいコレは何なのでしょう?
戸籍謄本と戸籍抄本の違いや入手方法などをイラスト付きでわかりやすくまとめました。
「戸籍謄(抄)本に有効期限ってある?」といったギモンも解消します!
※本記事は、2024年3月1日に施行された戸籍法の一部改正に則った内容を掲載しています。
「戸籍」とは?
まず初めに「戸籍」について。
聞いた事はあると思いますが、そもそも戸籍って何を指しているのでしょう?
「戸籍」とは、「国民の身分関係を登録しておき、それを証明する公文書」です。
・・・ムズカシイですね。
もう少し簡単に言うと、
「この人たちは親子ですよ」「夫婦ですよ」ということを、正式に証明してくれる書類
ということです。
戸籍って書類だったんですね。
戸籍上では、「夫婦とその未婚の子供」がひとまとまりとして扱われ、同じ戸籍に記載されます。
その戸籍の「原本」を管理している自治体(市区町村)を「本籍地」といい、戸籍はそこの役所でしっかりと保管されています。
例えば京都市が本籍地の場合、「戸籍の原本」は京都市役所に保管されています。
つまり、私たちが役所でもらう「戸籍」はすべて原本をコピーした「原本の写し」ということになるんですね。
なお、日本人どうしが婚姻届を提出して結婚すると、新しい戸籍ができて、二人ともそこに記載されることになりますが・・・
外国人との「国際結婚」の場合、外国人パートナーについては戸籍を作ることができません。
かわりに、日本人の戸籍の「身分事項」欄の「婚姻」という部分に、外国人パートナーの情報が書かれます。
国際結婚のときの戸籍について気になる人は、こちらを読んでみてくださいね。
「戸籍謄本」とは?
まずは読み方から。
「戸籍謄本」は、「こせきとうほん」と読みます。
「戸籍謄本(こせきとうほん)」には、この「戸籍の原本」にのっている内容が「全部」書かれています。
そして「その内容は正しいですよ~」と証明してくれる書類なんです。
戸籍謄本に載っている内容としては、以下のようなものがあります。
・本籍
・戸籍の筆頭者の氏名
・戸籍に記録されている全員の氏名、生年月日、父母の氏名と続柄、身分事項(出生・婚姻)
ちなみに、「戸籍の筆頭者」とは、戸籍の一番初めに名前が載っている人のことです。
戸籍謄本は「戸籍全部事項証明書」とも呼ばれます。
つまりフルバージョン。
「戸籍の内容『全部』を証明してくれる書類」というわけですね。
戸籍に入っている「全部の人の」情報がのっているのです。
また、戸籍謄本の「謄」とは、「原本どおりに写す」という意味だそうで、ここからも戸籍の原本を『そっくりそのまま』写した書類であることが分かります。
「戸籍抄本」とは?
「戸籍抄本」は、「こせきしょうほん」と読みます。
戸籍抄本は、戸籍にのっている人のうち、「一部の人(たいてい1人分)の内容だけ」を写して証明してくれる書類です。
「戸籍個人事項証明書」とも言います。つまり一部分だけの「簡易版」なんですね。
また、戸籍抄本の「抄」とは、「長い文章などの『一部を抜き出して』書く」という意味のようです。
漢字の意味からも違いが分かりますね。
続いては「戸籍謄本」や「戸籍抄本」の取り方をご紹介します。
戸籍謄(抄)本の取り方
戸籍謄(抄)本の取り方には、次の3つの方法があります。
① 役所へ直接行ってもらってくる
② 役所から郵送してもらう
③ コンビニで発行する(一部の市区町村のみ)
ひとつひとつご説明しますね。
① 役所へ直接行ってもらってくる
本人が直接役所へ行けない場合は、代理人に任せることもできます。
この場合、戸籍謄本と戸籍抄本のどちらを、誰が取りに行くのかによって、行くべき役所が変わってきます。
具体的には、こんな感じ。
戸籍謄本 | 戸籍抄本 | |
本人 | どの役所でもOK | 本籍地の役所 |
---|---|---|
配偶者・親・祖父母・ 同一戸籍の兄弟姉妹など | どの役所でもOK | 本籍地の役所 |
上記以外の人 (別戸籍の兄弟姉妹、友人、 その他第三者など) | 本籍地の役所 | 本籍地の役所 |
戸籍謄本が欲しい場合で、本人か配偶者・親・祖父母・同じ戸籍に載っている兄弟姉妹などが取りに行く場合はどの役所でも取ることができます。
※一部のコンピュータ化されていない戸籍謄本を除く
戸籍抄本が欲しい場合や、戸籍謄本を別戸籍の兄弟姉妹や友人などの代理人に取りに行ってもらう場合は、本籍地の役所に行く必要があるので注意してくださいね。
また一般的には、役所では平日の決まった時間しか対応してもらえないので、事前に受付時間を確認しておきましょう。
行くべき役所を確認したら、続いては必要な持ち物について見ていきましょう。
本人が取りに行く場合に必要なもの
戸籍謄(抄)本の発行に必要なものは、次の2つです。
・本人確認書類
・手数料(1通450円)
市区町村によっては、これに加えて印鑑(シャチハタ不可)が必要な場合もあるよう。
申請用紙は役所に置いてあるので、それに記入して申請すれば、その場で戸籍謄(抄)本がもらえます。
ちなみに、発行に必要な「本人確認書類」には、次のようなものがあります。
どれか1枚の提示で本人確認ができるもの |
---|
運転免許証 |
マイナンバーカード |
パスポート など |
2枚以上提示しないと本人確認できないもの |
---|
国民健康保険、健康保険、船員保険などの被保険者証 |
国民年金手帳 など |
その他の本人確認書類についても知りたい人は、下記のページで確認してくださいね。
法務省:戸籍の窓口での「本人確認」が法律上のルールになりました
代理人が取りに行く場合に必要なもの
代理人が役所の窓口へ行くときは、次の持ち物が必要です。
・代理人の本人確認のための書類
(免許証やパスポートなど)
・手数料(1通450円)
・本人からの委任状(配偶者・親・祖父母・同一戸籍の兄弟姉妹などの場合は不要)
またこちらも、市区町村によっては代理人の印鑑(シャチハタ不可)を持っていく必要があるようです。
この中で聞き慣れないのは「委任状」ではないでしょうか。
委任状とは、法律上の手続きについて、本人から代理人へ「その手続きを行う権限を委任します」と証明する書類です。
重要な手続きについては、ちゃんと本人の意思にもとづいて代理人が申請していることを、役所の方で確認する必要があるんですね。
委任状に書くのは、主に次のような内容。
・代理人の住所、氏名、生年月日
・委任する権限の内容(戸籍謄本の交付申請及び受領の権限 など)
・委任する年月日
・委任者(本人)の住所、氏名、生年月日、連絡先
委任者(本人)は大体の場合、自筆で署名する必要があります。市区町村によっては押印(シャチハタ不可)も必要になるので注意してくださいね。
自治体によってはHPに委任状の記入用紙や記入例を載せていることもあるので、調べてみてはいかがでしょうか。
手続きに使える印鑑について詳しく知りたい人はこちらをどうぞ。
婚姻届に使える印鑑はどれ?書き間違えたときの訂正印や捨印の押し方も解説!
② 役所から郵送してもらう
平日に役所に行けない人や、「戸籍抄本が欲しいけど本籍地が今の住所から遠い」という人には、「郵送請求」がオススメです。
郵送してもらうためには、
「本籍地の役所の、戸籍をあつかっている部課」
に、次のものを送ってください。
・戸籍謄(抄)本の請求用紙
・運転免許証などの身分証明書のコピー1枚
・定額小為替(ていがくこがわせ)、または現金書留(げんきんかきとめ)
・返信用封筒
順番に解説していきますね。
戸籍謄(抄)本の請求用紙
各市区町村のホームページからダウンロードできます。
「ダウンロードができない」「ホームページが見つからない」といった場合は、かわりに便せんを使うこともできます。
その場合は各市区町村の担当者に電話して、書き方を教えてもらいましょう。
運転免許証などの身分証明書のコピー1枚
「いまの住所がわかる身分証明書(免許証など)」をコピーして送ってください。
免許証などに裏書がある場合は裏表両方をコピーする必要があるので要注意。
そのほか、「マイナンバーカードの場合は写真面のみコピー」など指定がある場合もあるので詳しくは市区町村のページなどで確認するといいですよ。
定額小為替(ていがくこがわせ)、または現金書留(げんきんかきとめ)
戸籍謄(抄)本を郵送してもらうには、一通450円かかります。
ただし、市区町村によって手数料が違う場合もあるので、役所のホームページや電話で事前に調べてみてください。
手数料の支払いには、「定額小為替」や「現金書留」を使います。
「定額小為替」は郵送用の金券のようなもの。
現金の代わりとして送ることができます。
「現金書留」は現金を専用の封筒に入れて送る仕組みのことです。
こちらについても、市区町村によって「支払い方法は定額小為替のみ」といった条件がある場合もあるので、必ず事前に確認しておきましょう。
返信用封筒
返信用封筒には自分の宛名を書き、切手を貼っておきましょう。
郵送してもらう場合は、請求してから手元に届くまでに1~2週間かかります。
余裕をもって、早めの行動が必要です。
③ コンビニで発行する(一部の市区町村のみ)
市区町村によっては、コンビニのマルチコピー機を使って戸籍(抄)謄本を発行できるサービスもあります。
これなら、役所に行かなくて良いので便利ですね。
受付時間は市区町村によって異なりますが、朝7時や夜の22時、土日祝など役所が開いていないような時間に受付可能なところもあるようですよ。
ただし、今住んでいる場所が本籍地でない場合は、前もって本籍地の市区町村に「利用登録申請」をする必要があります。
利用登録申請も、コンビニのマルチコピー機で行うことができますよ。
または、マイナンバーカードを読みこめるICカードリーダーをパソコンに接続すれば、下記ページからネットでの利用登録申請も可能です。
証明書交付サービス<コンビニ交付>
戸籍証明書交付の利用登録申請
なお、利用登録申請をしてから利用できるようになるまでは、数日から1週間ほどかかることもあるので注意しましょう。
自分の住んでいる市区町村がコンビニ交付に対応しているかどうかや、受付時間については、下記のページで確認できます。
以上、戸籍(抄)謄本の取り方でした。
わからない点があれば、市区町村の役所の担当者に問い合わせてみて下さいね。
最後に、戸籍謄(抄)本に関するちょっとした疑問に答えていきます。
戸籍謄(抄)本の「気になる」を解決!
有効期限ってあるの?
結論から言うと、戸籍謄(抄)本に明確な有効期限はありません。
ただ、提出先によっては「発行から何ヶ月以内のもののみ有効」といったように定めがあることも。
不安なら、提出先にあらかじめ問い合わせておくといいでしょう。
一般的には発行から3ヶ月以内が目安とされているようです。
また、戸籍の内容に変更があって、それが反映されていない古い戸籍謄(抄)本を出してしまうと、再提出を求められることもあります。
たとえば、自分の兄弟姉妹が結婚して新しい戸籍に移った場合。
自分が持っている古い戸籍謄本には兄弟姉妹が載っているけど、最新の戸籍謄本には載っていない・・・なんてことがあるので気をつけましょう。
婚姻届を提出したら、すぐ新しい戸籍謄(抄)本をもらえるの?
婚姻届を提出した場合、すぐに新しい戸籍謄(抄)本をもらえるわけではありません。
新しい戸籍謄(抄)本をもらえるまでは、5日~1週間くらいかかるのが一般的です。
でも、「海外挙式をするから早くパスポートの名義変更をしたい」という場合もありますよね。
そんなときに役立つのが、「婚姻届受理証明書」。
「婚姻届受理証明書」は、婚姻届が受理された後に発行できる書類で、「二人が法的に夫婦であること」を証明してくれます。
新しい戸籍謄(抄)本が発行できない間は、婚姻届受理証明書を仮の証明書として使えますよ。
婚姻届受理証明書について詳しくは、こちらをどうぞ。
2024年3月1日施行の法改正で何が変わったの?
2024年3月1日に、戸籍法の一部を改正する法律が施行されました。
主な内容を簡単にご説明しますね。
婚姻届などを提出する際に、戸籍謄(抄)本が不要になった
以前は、婚姻届や養子縁組届など戸籍の届出をするときに、提出先が本籍地以外の市区町村の場合は戸籍謄(抄)本を提出する必要がありましたが・・・
2024年3月1日以降は、戸籍謄(抄)本は原則不要になりました。
提出のときに用意するものがひとつ減るのはうれしいですね。
本籍地以外の市区町村の窓口でも、戸籍謄本を入手できるようになった
戸籍謄(抄)本の取り方のところで「あれ?戸籍謄本をもらうには、本籍地の役所に行かないとダメだったような・・・」と思った人もいるかもしれませんね。
たしかに、以前まではそうでした。
ですが今回の法改正により、戸籍謄本については本人や配偶者、親、祖父母、同一戸籍の兄弟姉妹などに限り、どの市区町村の窓口でも入手できるようになりました。
※一部のコンピュータ化されていない戸籍謄本を除く
本籍地が遠くにある人も、いま住んでいるところや勤務先の最寄りの窓口などで発行できるようになったのは便利ですね。
この他にも、今後施行を予定しているものがいくつかあるようです。
詳しく知りたい人はこちらを見てみてくださいね。
まとめ
「戸籍謄本」は、戸籍を「全部」写した書類。
「戸籍抄本」は、戸籍の「一部」を写した書類です。
「戸籍謄本」の場合、本人、もしくは配偶者・親・祖父母・同じ戸籍に載っている兄弟姉妹などが取りに行くのであれば、基本的にどの役所でも取ることができます。
上記以外の代理人に取りに行ってもらう場合は、本籍地の役所に行く必要があるんでしたね。
「戸籍抄本」が欲しいときも、本籍地の役所に行く必要があるので注意してくださいね。
平日に役所に行けない場合は郵送してもらうこともできますが、手元にとどくまでには少し時間がかかるので注意しましょう。
最近ではコンビニ交付サービスを行っている自治体もあるので、調べてみると良さそうです。
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