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これしか言えない!
切実感を持ったプロポーズがいい!
fufufufunikki「夫婦フーフー日記(2015)」
(c)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
実在の闘病ブログを映画化
笑いと涙でくるんだ愛しい日々
「結婚しよう」
潔いまでにシンプルなプロポーズ。
気の利いたひねりは無いけれど、真摯で
切実な想いがストレートに伝わってくるこの言葉に、胸を打たれる女性も多いのでは?
「夫婦フーフー日記」は、このシンプルな求婚で大きく運命が動き出す男女の物語。
17年間の友人関係を経て結婚し、妊娠、出産、そして入籍から493日後に死別してしまう夫婦の軌跡を描いています。
書籍化された闘病ブログ「がんフーフー日記」の映画化で、辛く切ない悲劇もの・・・ではなく、ハートフルな笑いに満ちたラブ・コメディ!
笑って泣けて、何気ない日々が愛おしくなる、とってもステキな映画です♪
原作にない要素をプラスして
よりコミカル&ハートフルに
作家志望のコウタ(佐々木蔵之介)と本好きのユーコ(永作博美)は、学生時代から“最も気の合う親友”として17年間の友人関係を保ちます。
(c)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
が、ある日ユーコにお見合い話が出たことから関係は急変し、2人は結婚♡
入籍1か月後に妊娠が分かり幸せの絶頂を迎えますが、5か月後、ユーコにガンが見つかります。
早期出産し、治療と育児に奮闘しますが、入籍から493日後ユーコは帰らぬ人となってしまいます。
と、ここまでは実話ブログのままなのですが、映画ではコウタに“死んだはずのヨメが見える”というファンタジックな要素が加えられます。
(c)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
コウタと幽霊ユーコの2人で、現在や過去を行ったり来たりしながら闘病生活を振り返り、ブログには書けなかった真実の想いを浮き彫りにしていくのです。
1年ちょっとの結婚生活で2人に起こる出来事は、あまりに過酷で涙なしでは見られません。
だけど、この映画の魅力は悲劇をただの悲劇として描かず、“笑い”で味付けしたところ。
ネガティブ思考なコウタと豪快なユーコの凸凹コンビが見せる、遠慮のカケラもないボケツッコミは最高で、ほぼ全編笑ってばっかりです!
シリアスな実話をよくぞここまで笑いに・・・と感心しますが、笑えるからこそ切なく、切ないからこそ2人の愛や絆が感動的で。
97分という短い時間ですが、さまざまな感情が味わえて満足感たっぷり!
“あ~、お腹いっぱい”ってニッコリなれること間違いありませんよ♪
やっと気付いた想いを伝える
心しびれる直球プロポーズ
2人の関係を大きく変えた「結婚」ですが、17年の友人関係から脱却するには相当な勇気がいったはず。
映画の中で描かれるプロポーズシーンも、ものすごい緊張感がみなぎっています!
「お見合いするかも~」というユーコの言葉を受け、「ちょっと待ってろ!」と夜行バスでユーコの元に走るコウタ。
やっと気付いた“手放したくない”想い。
溢れ出る想いを原稿用紙に書き綴りますが、居酒屋でユーコを前にすると何も言えず・・・。
気まずい沈黙。
画面からビシバシ伝わる、ためらいと葛藤と不安と決意と緊張感!!
次の瞬間、顔を上げ、口からこぼれ出る
「結婚しよう」
の一言。
もぅ、コレがほんとイイっ!!
勇気を振り絞って、“これしか言えない”という切実感を持って口から出る言葉は、どんなセリフよりもコウタの真っ直ぐな想いを伝え、見ているコチラの心まで射抜きます。
そして、照れ笑いを必死に押し隠しながら「嬉しい」と短く応えるユーコ。
(c)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
喜びと恥ずかしさを全身に滲ませながら2人で笑い合う姿は、眩しいくらいに幸せそうで、“こんなプロポーズをされた~い!!”って叫んでしまいそうなくらいです♡
ん?でも「嬉しい」って応えるってことは、ユーコもプロポーズを待っていた?ということは、もしかしたらアノ「お見合いするかも~」は、彼女の引っ掛けだったかも!?
真意は映画ではわかりませんが、常にコウタをリードするユーコを見ていると、もしや・・・という気もしてきます。
押しの弱い男性との長い春に悩んでいる女性はぜひご参考に♪
人生に後悔なし!
力強く生きた2人が贈る感動
(c)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
そんな微笑ましさでいっぱいのプロポーズシーンですが、これを見る頃にはユーコが亡くなることがわかっているので、切なくもあり・・・。
プロポーズシーンが幸福感に満ちているからこそ、直後に襲ってくる悲劇が余計に悲しくて、「ほんとに結婚して幸せだった?」とも、つい考えてしまいます。
でも、どんな状況でも笑いながら一生懸命生きた2人の姿はとても前向きで、結婚を後悔している様子なんて微塵もなくて。
(c)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
すがすがしい感動が味わえるラストシーンでは、「結婚は正解?」なんて愚問はきれいに吹き飛んでしまいます。
愛する人との別れは、遅かれ早かれみんなに訪れるもの。
だからこそ、今の大切な人と一緒に居る時間をもっと大事にしよう!と、優しく気付かせてくれます。
まるで本物の夫婦のよう!
佐々木蔵之介&永作博美の空気感
(c)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
絶妙な距離感で言いたいことを言い合うコウタとユーコの関係は、下手に演じるとただの友達に見えてしまいがち。
そんな2人の深い夫婦愛がちゃんと伝ってくるのは、演技巧者の佐々木蔵之介&永作博美のなせるワザ。
しかも、セリフではなく、互いの間に漂う空気感で伝えてくる辺りが、さすがコノ2人!と唸ってしまいます。
(C)2015川崎フーフ・小学館/「夫婦フーフー日記」製作委員会
佐々木と永作の役へのなりきりようは監督の想像以上だったらしく、先のプロポーズシーンは2人にお任せの一発撮りだったとか。
2人があの瞬間にしか出せなかった感情と空気感、緊張感の結晶は、本当に本当に心に残ります。
ぜひ、今アナタの側にいる大切な人といっしょに、ゆっくり堪能してください♪